前田建設工業は、福井県大野市で施工中の「東市布トンネル工事」で、発破パターンと装薬量を自動算出する「発破パターン作成支援システム」を導入した。余掘り厚さが平均約7センチ、余掘り量が約40%低減した。
前田建設工業は2025年9月、福井県大野市で施工中の「東市布トンネル工事」(延長1163メートル)で、発破パターンと装薬量を自動算出する「発破パターン作成支援システム」を導入したと発表した。
従来の山岳トンネルの発破工程では、変化する地質に対して熟練技能者が経験に基づき削孔位置や火薬量を調整しており、技能者不足や施工の属人化が課題となっていた。
過装薬や弱装薬による発破結果のばらつきは、トンネルの計画掘削断面に満たない出っ張りが生じる“あたり”や余掘りの増加につながるだけでなく、あたり取りや吹付コンクリートといった後工程のサイクルタイム増加、地山の緩みの助長による肌落ちリスクや地山変位の増加につながるため適切な発破計画が重要とされていた。
新システムは、削孔データや点群データ、AIによる切羽評価データを組み合わせ、各発破区間ごとに最適な抵抗線長と装薬量を自動で算出する。
全自動ジャンボが取得する削孔位置や削孔角度、削孔長、打撃圧、回転速度から岩盤硬度を推定。発破後の素掘り面を3Dスキャンして点群計測し、余掘りや出っ張りを把握する。さらに、AI画像解析で風化や亀裂といった岩盤の状態を写真から評価し、装薬計画の最適化に反映する。
東市布トンネル工事でシステムを用い100グラム単位で装薬量を制御したところ、余掘り厚さが平均約7センチ、余掘り量が約40%低減した。
前田建設工業は今後、システムのさらなる改良を進め、自動装薬技術との連携で、削孔から装薬までの全工程の自動化を目指す。
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