帝国データバンクは、福利厚生の実態を調査し、半数近い47.6%の企業が法定外の福利厚生の充実を予定していると判明した。業種別では、建設業が58.7%で最多となった。
帝国データバンクは2025年10月23日、福利厚生に関する企業の実態調査結果を発表した。調査は2025年9月16〜30日にかけてオンラインで実施し、全国の企業1万554社が回答した。
調査結果によると、47.6%の企業が法定外福利厚生の充実を予定していると回答。内訳は「内容を充実させる予定」が17.4%、「金額を充実させる予定」が4.6%、「内容/金額ともに充実させる予定」が25.6%だった。「予定はない」は30.6%にとどまり、福利厚生拡充に意欲を示す企業の方が多い結果となった。
規模別に見ると、大企業では57.9%が福利厚生を充実させる予定となり、全体よりも10.3ポイント多かった。一方、中小企業は45.8%、うち小規模企業は38.5%だった。また、業界別では建設が58.7%で最も多く、次いで多かったのが運輸/倉庫の55.1%だった。両業界とも2024年問題や長時間労働規制などによる人手不足が顕在化しており、福利厚生の充実で従業員のエンゲージメント向上を図る動きがみられる。
導入済みの福利厚生は「通勤手当」(85.5%)が最も多く、次いで「慶弔休暇」(85.4%)、「慶弔見舞金」(76.1%)、「退職金」(76.0%)となった。一方で、「短時間勤務」(37.5%)や「在宅勤務」(28.5%)、「フレックスタイム」(19.5%)などの働き方改革関連、「人間ドック」(36.6%)や「メンタルヘルス相談」(28.1%)といった健康支援は導入率が比較的低かった。
特に中小企業では、「メンタルヘルス相談」「社宅/寮」「永年勤続表彰」の導入割合が大企業に比べ30ポイント以上低かった。「短時間勤務」「在宅勤務」「時差出勤」といった働き方改革関連も、導入割合が大企業を大幅に下回っている。
今後導入したい福利厚生では、「社員旅行の実施/助」と「フレックスタイム」がともに11.4%で最多だった。次いで「人間ドック」(11.3%)、「育児/介護に関する補助(法定以上)」(11.1%)、「ノー残業デー」(10.5%)、「奨学金返還支援制度」(10.4%)、「サブスク型福利厚生サービス」(10.1%)だった。
全体として、いずれかの制度を新たに取り入れたいと考える企業は49.1%に達した。中小企業の導入意欲が相対的に高く、大企業を上回っている。また、「育児/介護に関する補助」を既に導入している企業のうち21.3%が、「奨学金返還支援制度」を導入したいと回答。家計支援型の制度に対する企業意識の高まりがみて取れる。
建設会社からは、「福利厚生をもう少し充実させたいが原資の確保が難しい」「中小企業はできる範囲が決まってしまうので、補助金制度などを充実してほしい」といった声が寄せられた。
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