7年ぶりに進化した新世代ショベルと無人化施工で、コマツが未来の建設現場を発信第7回 国際 建設・測量展(2/2 ページ)

» 2025年09月16日 09時33分 公開
[加藤泰朗BUILT]
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国交省のi-Construction 2.0と連動、3DMC選択制で広がる施工の選択肢

 PC200i-12は、業界初となる「3Dマシンコントロール(3DMC)」の選択制を導入した。本体価格に3DMC利用料を組み込み、利用日数と時間が無制限の「プランA」、利用日数に応じて後払いする「プランB」、そして3DMGのみの利用に限定した「プランC」の3種類を用意。ブース担当者は「ユーザーのICT施工への対応度合いはさまざま。複数のプランをそろえることで、現場に即した生産性向上に貢献できる」と語る。

業界初の「3Dマシンコントロール(3DMC)」選択システム。他にも、DMGのみを利用できるプランを用意している 業界初の「3Dマシンコントロール(3DMC)」選択システム。他にも、DMGのみを利用できるプランを用意している

 こうした仕様の背景には、国土交通省が2024年4月に打ち出した「i-Construction 2.0」がある。「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」を3本柱に掲げ、生産年齢人口が約2割減少すると予測される2040年度までに、省人化を少なくとも3割、さらに生産性を1.5倍に引き上げることを目指している。公共工事では、ICT土工やICT浚渫(しゅんせつ)工(河川)が2025年度から原則ICT施工となり、対象工種も順次拡大される見通しだ。

遠隔と自動で省人化、無人化施工デモが示した現実解

 ブース内のメインステージで披露された「無人化施工デモンストレーション2025」も、建設現場の未来像を鮮明に示すものだった。

 デモ前半では、遠隔施工/無人化施工の導入でオペレーターのライフスタイルがどのように変わるのかを、ドラマ仕立てで再現した。

 後半は河川築堤工事を想定した実演。現場を3次元に可視化して施工管理に必要な土量、面積、距離などの情報を取得する「Smart Construction Dashboard」、仮設設計検討用の簡易CAD「Smart Construction Design3D」、開発中の「Smart Construction Craft」などを使用した。いずれもEARTHBRAINのIoTやAIなどを駆使し、建設現場の安全性や効率性を飛躍的に高めるコマツ独自の概念「スマートコンストラクション」のソリューション群だ。

 開発担当者は、無人化施工の要件として3つのポイントを挙げた。工事計画の作成や修正をデジタルで簡単に行えること。遠隔と自動の施工を柔軟に切り替えて運用できること。そして、最小限の人員でオペレーションを可能にすることだ。

 デモでは、ドローンで取得した点群データから施工量を算出し、設計データを建機に転送してICT施工を開始するまで、3つのポイントを押さえた一連の流れを映像で紹介。続いて、建機遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」による段切り/盛り土の作業が、千葉県の試験場からリアルタイム中継し、遠隔施工と無人施工が、現場でどのように行われるのかを具体的に示した。

遠隔施工と無人施工のデモ映像 遠隔施工と無人施工のデモ映像

 今回は、オペレーターが遠隔ショベル、遠隔ブルドーザー、自動ダンプを遠隔操作と自動運転を組み合わせながら1人で操縦。省人化と効率化が両立できることを実証した。

「Smart Construction Teleoperation」を操作するオペレーター。遠隔操作と自動運転を切り替えながら、掘削/ダンプへの積み込み/敷き均しといった作業を1人でこなした 「Smart Construction Teleoperation」を操作するオペレーター。遠隔操作と自動運転を切り替えながら、掘削/ダンプへの積み込み/敷き均しといった作業を1人でこなした

人とロボットが協働する建設現場へ

 デモの最後には、ヒューマノイドロボットも登場。オペレーターの動きを模倣して動く姿は、人手不足解消に貢献する可能性を示唆するものだった。開発担当者は「建設現場で人とロボットが共に働く未来は必ず訪れる。ロボット活用も含め、無人化施工ソリューションを進化させていく」との展望を語った。

開発中のヒューマノイドロボット。オペレーターの手の動きをトレースしながら、遠隔建機を操作していた 開発中のヒューマノイドロボット。オペレーターの手の動きをトレースしながら、遠隔建機を操作していた
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