熊谷組 土木事業本部 土木技術統括部 土木DX推進部 技術部長の北原成郎氏は「排水ポンプを小さい機械でも設置できるようにさまざまな研究開発を行っている」と述べ、CAFEプロジェクトとして九州大学での実験なども紹介した(熊谷組プレスリリース「河道閉塞の応急復旧作業を目的としたロボットシステムの公開実験を実施」)。斜面崩壊などで川が堰(せ)き止められる「河道閉塞」の応急復旧作業で、ICT建機(油圧ショベル、不整地運搬車)を用い、軟弱地盤の上に走行路補強マットを引いて排水作業が完了するまでの無人化施工を検証した。
ロボットハンドについては、「電線や柔軟なホースをつかんでひくような細かい作業で、重要な役割を果たすのではないか。専用機械ではなく、人間の手に近い作業ができる汎用ロボットが登場すると面白い。災害をどう考えるかは新しい技術を呼び込むことにもつながる」と期待感を示した。
ロボットハンドを実装したチューリッヒ工科大の利光泰徳氏とシニアリサーチャーのロナン・アンシェ(Ronan Hinchet)氏は、これまでに開発してきたロボットハンドとコンセプトを解説した。研究室からは汎用マニピュレーションを目指すスタートアップ mimic roboticsの他、オープンソースの「ORCAハンド」も公開している。2人は主に大型のロボットハンドを作る際の苦労を語った。単純にプロポーションを大型にするだけでは強度などに問題が発生するため、さまざまなアプローチで改良を重ねているという。
チューリッヒ工科大 教授 ロバート・カッチュマン(Robert Katzschmann)氏もビデオメッセージを寄せ、「日本とスイスのパートナーシップを強調したい。ロボットハンドは、人間の手の器用さと機械の力強さを融合し、器用な作業や確実な把持を実現したことで、災害対応力が上がる」と説明した。
「重機にハンドをつけよう」という話は、最初はカッチュマン氏が売り込んだものだったそうだ。やってみると想定よりも汎用性が高く「いいのではないか」と思ったと永谷氏は回想した。
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