杉孝は、「足場BIM」を現場で活用してもらうための支援サービスを提供している。2025年上半期には、サービス採用件数が同期比121%に到達し、足場BIMの需要が高まっているという。
仮設機材レンタル事業を展開する杉孝は2025年7月16日、建設現場で足場BIM活用を支援するサービスの採用件数が、2025年上半期で前年同期比121%に達したと発表した。
サービスの特徴は、BIMモデルを納品するだけでなく、納品した全ての現場に専任スタッフ「BIMサポーター」を派遣し、現場のBIM活用をサポートする点にある。顧客へのヒアリング内容をもとにBIMモデルを作成し、施工前には顧客や鳶業者とともに「足場施工BIM検討会」も開催する。
足場BIMは、3Dで組み方のイメージを共有することで、詳細部分の組み方までの事前検討や組み手の意見の計画への盛り込みが可能になる。また、外国人労働者を含めた現場スタッフ間の意思疎通の円滑化にもつながる。
BIMソフトを所有していない顧客には、BIM使用に加え、足場材数量の自動算出ができるBIMのクラウドサービスも提供する。数量算出に関しては杉孝のアンケートによると、従来の算出方法に比べ、作業時間が平均約70%短縮する結果となった。さらに、選択した箇所の足場材重量を即時計算する機能も搭載。算出データを独自のWeb発注システム「COLA」に取り込めば、発注作業も効率化する。
一方で、導入企業の約2割が十分な効果を得られていないことが新たな課題となっている。BIMモデルと現実の足場施工との乖離(かいり)が原因のため、杉孝は施工後に差異の確認や要因を分析する新たな取り組みを開始した。今後は改善活動で得た知見を基に、BIM活用範囲の拡大やさらなるサービス強化を進める。
人手不足が深刻化する建設業界で、杉孝は建設現場の生産性向上の一助となるために現場の足場に関する手間削減のさまざまな取り組みを行ってきた。足場に関する手間として、しばしば挙げられるのは、組み立て開始後に躯体や現場の実態に合わせて組み換えする「現場合わせ」、足場材の必要数量の算出がある。課題解決のために、2017年からBIMを導入し、2022年から現場でのBIM活用のための支援サービスを本格的に開始。働き方改革や国土交通省によるBIM適用推進の影響もあり、2023年からは年間対応件数が毎年1.3〜1.5倍で増えているという。
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