東京都中央区で第一生命が開発を進めてきた木造/S造ハイブリッド構造による賃貸オフィスビル「第一生命京橋キノテラス」が竣工した。地上12階、高さは56メートルで、第一生命によれば、竣工時点では木造ハイブリッド構造のオフィスビルとして日本一の高さだという。
第一生命保険は、清水建設の技術協力を得て開発を進めてきた東京都中央区京橋の木造/S造ハイブリッド構造による賃貸オフィスビル「第一生命京橋キノテラス」が、2025年7月18日に竣工したと発表した。地上12階/地下2階、高さは56メートルで、両社によると、竣工時点では木造ハイブリッド構造のオフィスビルとして日本一の高さ。
事業者は第一生命保険、設計は清水建設一級建築士事務所、施行は清水建設・日本建設共同企業体が手掛けた。第一生命にとって、木造ハイブリッド構造の建物としては、2022年度に竣工した「TDテラス宇都宮」に次ぐ2例目。
東京メトロ銀座線「京橋」駅と直結し、敷地面積は1322.24平方メートル、延べ床面積は1万6151.25平方メートル。清水建設の木質ハイブリッド技術「シミズ ハイウッド」を採用し、木材だけでは実現が難しい、中大規模木造建築に求められる耐震性、耐火性、施工性を確保した。
木材使用量はオフィスビルとして国内最大級の約1100立方メートルで、東京都多摩産材などの国産材を利用している。木材利用による約740トンのCO2固定化、鉄骨材の約70%にリサイクル資源を活用した電炉材を採用し、一般的な同規模のS造オフィスビルと比較して、CO2排出量をトータルで約37.5%削減した。
今回の計画には、シミズ ハイウッドシリーズの新技術、「ハイウッドビーム 2時間耐火仕様」「ハイウッドウォール」「ハイウッドスラブ・サポートレス工法」を適用した。
主要構造部の天井や梁(はり)に使用した木材を内装デザインにも積極的に活用し、施設利用者に対し、リラックス効果や生産性向上効果のある木に囲まれた快適な執務空間を提供する。各階にはワーカーが外気に触れられるテラスを設置。多様化するワークスタイルへの適応やコミュニケーションの活性化を促す。
第一生命京橋キノテラスは大型再開発「東京スクエアガーデン」の緑豊かなオープンスペースに面し、立地特性を意識した基準階計画を策定した。引張力に強くロングスパンに対応できる鉄骨材と圧縮力に強い木材の強みを生かし、周囲の景観も含めて南北に向けた40×17メートルの木質無柱空間を創出。1、2階の屋外ピロティ空間は柱や軒天井に木を取り入れている。
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