大和ハウス工業は、商業施設や事業施設などの木造建築物の設計業務でBIM活用を本格的に開始する。BIMツールの連携で木造建築の短時間で高精度な設計環境を構築し、建材の積算や施工シミュレーション、省エネ効果の試算も可能になる。
大和ハウス工業は2025年6月2日から、設計業務でのBIM活用の対象を商業施設や事業施設などの木造建築物に広げる。
大和ハウス工業は、非住宅事業の木造/木質化による脱炭素化を推進すべく、BIMの設計・施工支援ツール「D-Rex」に、応用技術が開発したBIMソフトウェア「Autodesk Revit」の拡張ツール「BooT.one」を連携。これまで蓄積してきた鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物のBIMデータをもとに、応用技術が持つ木造建築向けの詳細設計に関する情報を付加し、設計者が短時間で高精度な木造建築物を設計できる環境を整える。
木造建築をBIM対応させることで、建物の構造材や壁、屋根、窓、ドアなどの部材の他、さまざまな図面や数量表の作成のためのテンプレートを標準化。これまで鉄骨造向けだった柱や梁(はり)の構造、構造の耐火被覆などを自動的に生成する機能を木造にも対応し、建設資材の積算を行えるようにした。施工シミュレーションに対応や省エネ効果の試算も可能になり、建物オーナーへサステナブルな建物を提案できるようになる。
今後は、建材の製造から施工までの過程におけるCO2排出量の可視化や、建物の運用時エネルギー効率の解析など、環境配慮型の設計支援機能をさらに強化する方針を明らかにしている。
大和ハウス工業は、2017年4月からBIM活用を始め、2020年には鉄骨造の商業施設や事業施設などの設計業務のBIM対応を完了させるなど、建設DXの実現に向けたデジタル基盤を整備してきた。
脱炭素社会の実現に対しても2023年10月には、非住宅の木造/木質化を推進するプロジェクト「Future with Wood(フューチャー ウィズ ウッド)」を発足。2024年12月には、農林水産省と「カーボンニュートラルの実現に貢献する建築物木材利用促進協定」を締結し、2025年4月には「Future with Wood推進部」を立ち上げている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.