キヤノンのインフラAI点検サービスが検知対象を12種に拡大 DX特別賞の技術を搭載：AI

キヤノンは、クラウド上でAIによるインフラの変状点検を可能にするサービスで、検知対象を従来の5種から12種に拡大した。コンクリート構造物のはく離をはじめ、土木学会の「デジタルツイン・DX特別賞」を受賞した鋼材の塗膜剥がれ／腐食も可能となり、横断歩道橋や水管橋の点検にも対応した。

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　キヤノンとキヤノンマーケティングジャパンは、インフラ構造物の画像から、AIでひび割れなどの変状を検知するサービス「インスペクションEYE for インフラ Cloud Edition」を2025年11月27日にバージョンアップした。新バージョンでは、鋼材の塗膜剥（は）がれや腐食、建物外壁のひび割れ、コンクリートのはく離の変状検知などに対応する。

鋼材の塗膜剥がれや腐食など検知可能な変状が12種に拡大

　橋梁（きょうりょう）やトンネルなどの社会インフラ構造物は、高度経済成長期に建設されたものが多く、老朽化が進んでいるため、維持管理が課題となっている。キヤノンは2019年12月、土木業界の慢性的な労働力不足をDXで解決することを目指し、画像とAIを活用したインスペクションEYE for インフラの提供を開始し、点検作業の効率化や高度化をサポートしてきた。

　2024年11月にはクラウド化し、インフラ構造物の点検対象をコンクリートのひび割れ、エフロレッセンス（遊離石灰）、鉄筋露出、はく落、錆汁に対応させた。

「インスペクションEYE for インフラ Cloud Edition」の概要　出典：キヤノンマーケティングジャパンプレスリリース

　今回、より多様化するユーザーのニーズに応えるべく、機能を拡充した。新たに搭載したコンクリート構造物の「はく離検知」では、画像点検では検知できない「浮き」に対して、はく落する前の兆候を検知し、打音点検が必要な箇所を洗い出す。コンクリ構造物では他にも、漏水、エフロレッセンスを伴うひび割れ、チョーク跡も検出する。

はく離を対象とした変状検知結果のイメージ　出典：キヤノンマーケティングジャパンプレスリリース

　また、「鋼材の塗膜剥がれ／腐食検知」も実装し、横断歩道橋や水管橋など鋼材構造物の点検も可能となった。鋼材の塗膜剥がれや腐食の検知は、2025年5月に土木学会の「デジタルツイン・DXシンポジウム2025」で大田区と東京科学大学と発表し、「デジタルツイン・DX特別賞」を受賞している。

　他にもドローン点検事業者からの強い要望に応え、「建物外壁のひび割れ検知」も実現した。

建物外壁のひび割れを対象とした変状検知結果のイメージ　出典：キヤノンマーケティングジャパンプレスリリース

　検知可能な変状は、従来の5種類から12種類へと、点検対象の幅が大きく広がった。さらに、構造物を斜めから撮影した画像のゆがみを補正し、正面からの視点に変換する「正対補正」、画像内の検知不要エリアを指定できる「非検知エリア設定」、検知パラメーターを調整する「テスト」など、現場のニーズに即した実用的な機能を追加した。

変状検知の対象を5種類から12種類に拡大　出典：キヤノンマーケティングジャパンプレスリリース

「正対補正」のイメージ　出典：キヤノンマーケティングジャパンプレスリリース