奥村組とケミカル工事は共同で、解体コンクリートがらを骨材として使用する「リ・バースコンクリート」を車両架装式の移動式コンクリートプラントで製造する実証試験を実施した。試験の結果、従来の製造方法と同等の品質を確保できることを確認した。
奥村組は2025年5月7日、ケミカル工事と共同で、解体コンクリートがらを骨材として用いる再生コンクリート「リ・バースコンクリート」を車両架装式の移動式コンクリートプラント(モービル車)で製造する実証試験を行い、従来の製造方法と同等の品質を確保できることを確認したと発表した。
リ・バースコンクリートは解体現場で発生するコンクリートがらを粗骨材相当(40ミリ以下)に破砕し、表面洗浄などの二次処理を行わず骨材として使用する技術だ。コンクリートがらの搬出量や新規骨材運搬量を低減し、CO2排出量の抑制につながる。一方で専用の製造装置「リ・バース号」はクラッシャーを併設した固定型のバッチ式プラントで、現場内に広い設置スペースを確保する必要という課題があった。
今回の実証では、小割りしたコンクリートがらをクラッシャーで40ミリ以下に破砕し、練り混ぜ水、セメント、細骨材などを投入してリ・バースコンクリートを製造した。フレッシュ性状試験の結果、従来製品と同等の性状を確認した。また、圧縮試験と乾燥収縮試験の結果でも同等の強度と乾燥収縮量を確認できた。
移動式プラントの利用により、固定設備と比べ設置面積が小さく自走できるためスペースに制約のある現場でも導入しやすいという利点がある。また、施工場所の近くで必要量だけ製造できるためスランプロスを考慮する必要がなく運搬コストを削減できる点や、連続式ミキサの採用により必要量だけ製造でき材料ロスを低減できる点なども効果として見込まれる。
奥村組は今後、コンクリートがらに回収したCO2を吸着させるCCS技術など、新たな再生コンクリート技術の開発を推進する方針だ。
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