xR技術で地盤改良工事の進捗と影響を可視化、奥村組：xR

奥村組は、xR技術を活用して地盤改良工事の進捗と周辺地盤への影響をリアルタイムに可視化する「施工影響XRウォッチャー」を開発した。

[BUILT]

　奥村組は2025年3月18日、xR（クロスリアリティー）技術を活用し、地盤改良工事の進捗と周辺地盤への影響をリアルタイムに可視化する「施工影響XRウォッチャー」を開発したと発表した。新システムを地下構造物に近接して行う地盤改良工で試験運用し、公衆災害発生防止への有効性を確認できたことから、今後、適用現場を拡大する。

施工影響XRウォッチャーを使用した監視業務　出典：奥村組プレスリリース

施工影響XRウォッチャーの構成　出典：奥村組プレスリリース

　施工影響XRウォッチャーは、施工機械に取り付けたセンサーと、施工箇所周辺に設置した沈下計から、クラウド経由で施工深度と鉛直変位量のデータを取得。取得したデータを基に、MicrosoftのMR（複合現実）デバイス「HoloLens2」や、Appleのタブレット「iPad Pro」を介して、施工位置や進捗、沈下計の計測結果をリアルタイムに可視化する。

　施工位置は円柱状の3Dモデルで可視化し、進捗に応じてグレーの着色部が増加する仕組みだ。沈下計の計測結果は、設置場所に表示されるシリンダー状の3Dモデルの高さで表現する他、1次〜5次までどの管理基準値に相当するかを色分けして表示する。

施工位置は円柱状の3Dモデルで表示。進捗に応じてグレーの着色部が増加する　出典：奥村組プレスリリース

沈下計計測結果は3Dモデルの高さで表現　出典：奥村組プレスリリース

沈下計計測結果は3Dモデルの高さで表現　出典：奥村組プレスリリース

　奥村組は新システムを、地下鉄営業線に近接して高圧噴射撹拌（かくはん）工法による地盤改良工を行う自社建設現場に適用。地下鉄トンネル躯体内から施工位置と進捗をリアルタイムに確認でき、重点的な監視が必要な場所の特定が容易になった。また、躯体の沈下／隆起の状況を即座に把握可能で、現場の安全性向上と公衆災害の発生防止に寄与することを確認した。

　今後は他の計測機器との連携を進め、地盤改良工以外の工事進捗も可視化できるシステムに発展させ、より広範な現場への適用を目指す。