遠隔施工は、災害復旧工事以外の通常工事にも導入を広げる。2024年度には国土交通省発注工事21件で遠隔施工を活用した。主な事例では、コマツとEARTHBRAINの建設機械向け遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」を用い、現場から直線距離で
約30キロ離れた本社のオペレーションルームからバックホウを操作した。遊水地整備では、コベルコ建機のK-DIVEで遠隔バックホウの掘削工と法面整形工を行った。マシンガイダンスと遠隔施工の組合せで、オペレーターの操作のアシストを可能にした。
今後は、自動施工の現場導入を支援する「自動施工コーディネーター」、遠隔施工を担う「遠隔施工オペレーター」について、2025年度から本格的な育成プログラムを展開する。
施工データの活用(ICT施工 StageII)では、道央圏連絡道路のランプ改良工事で、ダンプトラックやバックホウの位置情報、稼働状況を見える化。運搬経路や機械の能力を見直し、積み込み待ち時間の改善につながり、8日間の工程を短縮した。運搬作業員あたりで、延べ80人の削減となった。
海上工事は、海底地形の3次元測量に使うマルチビーム測深で、ノイズをAIで除去する「マルチビームデータクラウド処理システム(MBC)」を開発。2025年度から、ICT活用工事で行う3次元測量にMBCを導入することで、データ解析を省力化し、解析待ちで生じている作業員や作業船の拘束時間を低減させる。他にも、作業船の自動化や自律化の施工を目標に現地試験(4件程度)を実施し、関係機関との合意形成が必要となる安全確保の在り方を検討する。
データ連携のオートメーション化では、3次元モデルを契約図書として活用するため、前提として3次元モデルと2次元図面の連動を原則化すべく86件で試行した。
2025年度は、3次元モデルと2次元図面の整合確認方法のルールを策定し、3次元モデルを契約図書の一部として活用する検討に入り、将来は課題だった整合確認の自動化と3次元モデルの契約図書化を目指す。
他にもBIM/CIM積算に向け属性情報を標準化し、2次元図面による数量算出作業の削減や転記ミスなどの防止を図る。また、必要な工事工種体系ツリーコードデータやIFCデータを設計数量管理機能にインポートするツールを公表する。
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