そうした中、パナソニック ホームズが打ち出した新ブランドのReVALUEDは、戸建て買取再販事業で「空気の質」や「保証の継承」といった新たな価値観を明示した挑戦的なプロダクトとなる。
ストック事業は、自社で施工した住宅の長期的な価値維持と再流通を目的とする。建物の管理、点検、リフォーム、販売に至るまでをグループ一体で担い、ユーザーとの接点を持ち続けながら、売却時にもスムーズな買取を実現する。
注目すべきは「スムストック」制度。スムストック制度とは、大手ハウスメーカー10社が共同で設立した「優良ストック住宅推進協議会」が定める優良な既存住宅に対する共通認定制度だ。目的は中古住宅の価値を適正に評価し、良質な住宅ストックの流通を促進することにある。
スムストック制度では以下の3つの原則が掲げられている
・住宅履歴データが蓄積されていること
・50年以上の長期点検制度/メンテナンスプログラムが実施されていること
・新耐震基準レベルの耐震性を保持していること
3条件を満たした住宅は、築年数が経過しても価値を適正に評価される仕組みとなっており、従来の「築20年で建物価値ゼロ」といった画一的な評価を脱することができる。
スムストック査定では、建物の構造躯体(スケルトン)と内装/設備(インフィル)を分けて評価し、メンテナンス履歴を加味することで、より精緻な査定を可能にしている。
現時点では、買取再販全体で戸建ての比率は金額ベースで約1割、件数ベースで約2割。依然としてマンション中心の構成だが、戸建て比率を売上2割へと引き上げ、2030年度までに買取再販全体で350億円にまで拡大する方針を掲げている。
その戦略の柱となるのが、ReVALUEDブランドの本格展開だ。長期保証の継承、空気環境への配慮、選べる換気/空調仕様などを通じて、従来の「中古住宅=価格の安さ」ではなく、「安心と快適性に価値を見い出す」新たな再販モデルを提示している。
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