関電不動産開発が大阪府交野市で計画している新築分譲マンション「シエリアシティ星田駅前」に、日立ビルシステムが開発した「V2Xシステム」を全国初導入する。V2Xシステムは太陽光発電で電気自動車や蓄電池を充電し、停電時でも蓄電した電気でエレベーターが利用ができる。
関電不動産開発と日立製作所、日立ビルシステムは2025年3月3日、関電不動産開発が大阪府交野市で計画中の新築分譲マンション「シエリアシティ星田駅前」に日立ビルシステムが開発したV2X(Vehicle to X)システムを全国で初めて導入すると発表した。
V2Xは、太陽光発電で電気自動車(EV)の蓄電池を充電し、停電時にEVからの給電や蓄電した電気でエレベーターを稼働させる電力の相互供給を行うシステム。
日立製作所と日立ビルシステムのV2Xシステムは、急速充電方式「CHAdeMO(チャデモ)」のV2H(Vehicle to Home)用規格「CHAdeMO V2H」に対応するEVの充放電、太陽光発電の直流電源を交流電源に変換、蓄電池の充放電などの機能を有する「Hybrid-PCS(Power Conditioning System:パワコン)」を中核に構成している。
物件ではHybrid-PCSに太陽光発電設備と蓄電池を接続したV2Xシステムを構築し、平常時は太陽光発電による電気を共用部の照明などに供給し、カーシェアリングサービスで導入するEVの急速充電を行える。
物件は、関電不動産開発がJR「星田」駅北側で推進しているサステナブルな街づくり「SMART ECO TOWN 星田(スマートエコタウン星田)」の駅前最前列に位置する総戸数382戸の大規模マンション。ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)を取得した高い環境性能と、非常時に安心なレジリエンス性能が特長となっている。
マンション敷地内の太陽光発電設備で発電した電気は、V2Xシステムでカーシェアリングサービスに使用するEVや蓄電池に充電ができる。日中は満充電時の余剰電力を共用部で利用し、日々の電気使用量を削減。広域災害などで停電が発生した際でも、太陽光発電設備やEV、蓄電池からの給電で、エレベーターをはじめ、共用部の一部照明やコンセントが使える。
停電時のエレベーターの運転再開までのプロセスは、Hybrid-PCSとEVを接続し、V2Xシステムを起動することでEVのバッテリーから直流電力を取り出し、三相200Vの交流電力に変換してエレベーターに供給する。
物件のエレベーターの定格速度は分速105メートルで、給電時は分速30メートル以下の低速運転となる。バッテリー容量は40kWh(キロワットアワー)で、残量10%まで外部給電が可能なEVをカーシェアリングサービスで導入予定で、エレベーターの運転可能時間は約14時間を想定している。
また、EVのバッテリー残量をモニターし、バッテリーが給電限界を迎える前に、Hybrid-PCSに付設する「IFユニット」を通じてエレベーターの制御盤に信号を送信し、給電の停止による利用者のエレベーター内の閉じ込めを防ぐ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.