高層建築物の鉄骨梁端部の接合部を合理化した新工法を開発、鹿島建設新工法

鹿島建設は、高層建築物の鉄骨梁端部の接合部を合理化した「鹿島式ストレート梁工法」を開発し、8件の実際の工事に採用した。CFT造柱の柱梁接合部の内部にジベルを溶接して取り付けるもので、水平ハンチの取り付けが不要になる。

» 2025年02月26日 08時00分 公開
[BUILT]

 鹿島建設は2025年1月29日、高層建築物の鉄骨梁端部の接合部を合理化した「鹿島式ストレート梁工法」を開発し、8件の実際の工事に採用したと発表した。

 同工法では、CFT造柱の柱梁接合部の内部にジベルを溶接して取り付ける。ジベルを介して柱内に打設したコンクリートが一体化するため、強度が向上。水平ハンチの取り付けが不要になる。柱周りのスペースの有効活用が可能となるため、設計の自由度が向上するほか、現場での溶接作業量を削減できる。

「鹿島式ストレート梁工法」と従来工法との比較 「鹿島式ストレート梁工法」と従来工法との比較 出典:鹿島建設プレスリリース

 また、容易に精度を確保できるため、溶接部の品質が向上する。水平ハンチを用いる従来の工法では梁フランジの幅が大きくなるため、鉄骨の精度確保に手間を要し、溶接部の食い違いの補強などが生じるリスクがあった。

 現場溶接ロボットを用いた上向き溶接では、構造上の弱点となり得るスカラップ(溶接の支障にならないように部材に設置した扇形の切欠き)を省くことが可能だ。ジベルなしでも構造性能を確保できるが、ジベルを取り付ければより性能向上が期待できる。

現場溶接ロボットを用いた上向き溶接 現場溶接ロボットを用いた上向き溶接 出典:鹿島建設プレスリリース

 鹿島建設は、柱梁接合部を模した部分骨組を用いて新工法の構造実験を実施した。結果として、ジベルの補強により得られる耐力上昇効果を確認したほか、一般的に工場溶接で製作されるノンスカラップ鉄骨梁端接合部と同レベルの変形性能を有することも確認した。耐力と変形性能の評価法を構築したことで、日本建築センターの一般評定も取得した。

変形性能評価法 変形性能評価法 出典:鹿島建設プレスリリース

 新工法を採用した工事の1つとしては、札幌4丁目プロジェクト新築計画(仮称)がある。地下2階、地上13階建のプロジェクトで、事務所や飲食店舗、物販店舗、駐車場が入る予定だ。工期は2023年3月から2025年3月までを予定している。

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