トークセッション中盤には、野村氏が「使う電気を再生可能エネルギーにすることで使う電気の量を減らさずにCO2を削減する」アプローチを示した。ここで注目されるのがHEMSの概念だ。HEMSは家庭で使われるエネルギーを統合的に管理するため、再エネを含んだ家庭内のエネルギー受給を最適化できる。そのための物理的な機器がAiSEGだ。
2025年3月に市場に投入するAiSEG3は、AiSEGの最新バージョンで、AiSEG1やAiSEG2で蓄積してきた24万件ものデータを分析した結果が、エネルギー制御に反映されている。これまで取得したデータをもとに作られたアルゴリズムとAI処理を活用し、再エネによるエネルギーの活用率を76%にまで高める。電気代の削減だけでなく、CO2排出削減にも大きく寄与する。
AiSEG3でアピールされている“AIによるエネルギー制御”を野村氏は、自動車の自動運転に例える。自動運転は運転者や同乗者の快適性だけでなく、事故の回避や渋滞の解消、ひいては高齢化が進む地方での移動手段といった社会を取り巻く諸課題を解決すると期待されている。AiSEG3も普通に生活するだけで効率的なエネルギー管理を可能にし、快適性と省エネの両立、CO2の排出削減などを高次元で実現する。
野村氏はAiSEG3を「自動運転でいうとレベル3の段階」と表現。レベル3とは、使う人がデータを入力しなくても、普通に生活するだけでエネルギーが最適な状態で利用できる状態を指す。
AiSEG3ではデザインやインタフェースにも工夫を凝らし、野村氏は「住宅の設備として、暮らしに溶け込むデザインとした」と話す。
AiSEGの今後について野村氏は、「エネルギーに限らず、暮らしの中で、生活しているだけで快適な温度になり、高齢化などの社会問題に対しても、安心して家の中で暮らしができるようなプラットフォームに進化していければ」と抱負を語る。
秋元氏は「今後は高性能住宅が増えると、それをうまく使いこなせるかがポイントとなる。AiSEG3を使えば、安心安全に地球環境のことも考慮しながら健康/快適な生活が送れるようになるはずだ」と期待を寄せた。
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