アプリの「シーン」機能を活用することで、複数のスマートホーム対応機器を組み合わせて動かし「住空間が流れるように動いていく仕組みを簡単に作ることができる」(三菱地所の説明員)のも特徴の1つだ。
例えば1LDKタイプの部屋で外出前を想定した場合、スマート化していない住宅では、リモコンでテレビを消し、カーテンを閉め、照明を消す作業に1分程度を要する。シーン機能でこの一連の作業を設定しておけば、手元のアプリをタップするだけでまとめて操作ができる。さらに、スマートスピーカーと組み合わせれば「いってきます」などのあらかじめ設定した言葉をかけるだけで住空間の制御が可能になるのだ。
デバイスの組み合わせや、何を条件に動かすかは「10人いれば10通りの使い方がある」(三菱地所の説明員)と説明するように、ユーザーの生活スタイルに合わせて自由にカスタマイズできる。
ユースケースの1つとして紹介されたのが、子どもの就寝前の「おやすみモード」だ。寝る準備をする際にスマートスピーカーに「おやすみ」と音をかけると、天井照明の消灯、暖色系の間接照明への切り替え、ヒーリング音楽の再生といった、あらかじめ設定した一連の動作が自動的に実行される。説明員によると「親からの声かけではなく、部屋の環境が変化して就寝時間を示すことで、子どもが自ら寝る準備を始める効果があったとの声もある」(説明員)という。また、親子での添い寝時にも消灯などのために起き上がる必要がなくなり、眠っている子どもを起こすリスクも解消されると高い評価を得ているという。
また、専用アプリには、ユーザーの省エネ行動を促進する機能「HOMETACT Energy Window」も搭載している。ユーザーが設定した電気料金の目標に対して、進捗をアニメーションによって直感的に分かりやすく示すことで、家庭のエネルギー消費量削減を後押しする機能だ。
住戸の中だけでなく、共用部のソリューションについてもHOME TACTをハブに新たな機能を追加している。2024年12月には、オプテックスの自動ドアセンサーソリューション「OMNICITY(オムニシティ)」との連携を開始し、共用部の自動ドアをハンズフリーで解錠できるシステムに対応した。
HOME TACTは三菱地所レジデンスの賃貸マンション「ザ・パークハビオ」シリーズの他、デペロッパーや賃貸管理会社など幅広い企業に向けてもサービスの提供が進んでいる。新築マンションにマンション単位で導入されるケースが多いが、既設のマンションに入居者の入れ替わりのタイミングで徐々に実装されていくケースもある。
三菱地所の説明員によると、「国内でスマートホームを採用している物件はまだ少ないが、導入を検討したいという問い合わせは増加傾向にある。スマートホームサービスの導入で賃貸住宅の賃料アップや空室期間の短縮を実現した事例も増えてきた」という。ファミリー向け住宅だけでなく、単身者向けの物件でも導入実績があり「学生街のワンルームマンションをスマートホーム対応物件として刷新し、若手社会人をターゲットに変更したことで、賃料アップに成功したケースも出てきた」など、物件の新たな価値創出にもつながっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.