熊本県菊陽町が公募した70haに及ぶ「原水」駅周辺の土地区画整理事業で、三菱商事と三井不動産を大法企業とする2つのコンソーシアムが、街の将来ビジョンの検討パートナーに選ばれた。TSMCなどの半導体企業が進出する人口増加や経済発展に対応する街の将来像を提案する。
熊本県菊陽町は2024年11月22日、「原水」駅周辺の再開発で将来ビジョンを検討する業務で、三菱商事の九州支社と三井不動産をそれぞれ代表とする2つのコンソーシアムを受託候補に選定したと発表した。
各コンソーシアムの構成企業は、三菱商事側が戸田建設、日本工営、西日本鉄道と三菱商事が共同出資するネクスト・モビリティ、アイサンテクノロジーと三菱商事のA-Drive。三井不動産が九州旅客鉄道(JR九州)。
菊陽町は、半導体企業の誘致に伴う今後の人口増加や経済発展に対応すべく、JR豊肥本線「三里木」駅と原水駅の間に2027年開業予定の新駅設置を計画している。同時に新駅と原水駅間の敷地約70ヘクタールで土地区画を整理する街づくり事業も進めている。
町が先進的なまちづくりの姿を描いた将来ビジョンでは、原水駅周辺を「職住近接エリア」として工業団地で働く従業員の住環境を提供する住宅やマンションを建設。新駅周辺は「賑わいエリア」となる商業施設や高級ホテルを整備。両駅間は「知の集積エリア」と位置付けて大学や企業の研究拠点を誘致する。それぞれのエリアは、次世代交通システムで結び、利便性の高い移動手段を提供する。
今回の公募では4者が応募し、審査の結果、三菱商事と三井不動産の上位2つのコンソーシアムを選んだ。パートナーとなった2者は委託期間の2026年3月31日までに、町が策定した将来ビジョンのエリア構成や導入機能を設計などに反映できるように要件を整理するとともに、その内容の具体化を進める。
三井不動産の発表によると、2024年11月28日には町と協定を締結。三井不動産はこれまでにも、熊本県内で2020年から阿蘇くまもと空港の運営に携わっている他、菊陽町や九州大学都市研究センターと連携し、スポーツによるウェルビーイングな街づくりの検討も進めている。また、JR九州は熊本県と連携し、熊本駅周辺の複合開発や新駅設置、熊本空港アクセス鉄道に関する検討を進めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.