奥村組は北陸鋼産と共同で、山岳トンネル工事における覆工コンクリートの自動打設システムを開発した。
奥村組は2024年10月7日、北陸鋼産と共同で、山岳トンネルでの覆工コンクリート自動打設システムを開発したと発表した。実大規模施工実験での検証では所定の品質基準をクリアし、異なるメーカーのコンクリートポンプを使用して汎用性も確認した。
新システムは、奥村組の「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を組み合わせた上で、圧送ポンプ機のリモコンとバイブレータの制御盤を接続したもの。あらかじめ設定した打上がり高さに応じて、ポンプの圧送速度やポンプとバイブレータの稼働/停止を自動制御し、打設口の切り替え作業を除く覆工コンクリートの打設を自動化する。
高速打設システムでは、Y字配管により、1系統の打設ルートをセントル(移動式型枠)の左右に分岐させる同時打設を実現。また、セントル内の打設口の高さに到達するまでコンクリートを流入した後も、配管を切り替えずに打設空間の上方へ圧入することで、配管の切り替え回数を削減し、打設中断時間の短縮を図る。
また、圧力計による打設高さ検知システムは、セントルに設置した圧力計で計測したコンクリートの圧力から打設高さを算出。一定の高さに達したことを感知するセンサーを設置して計測する手法と比べて、少ないセンサー数で正確に打設高さを把握できる。
奥村組は新システムの実用化に向けて、自社技術研究所で有効性の検証を行った。トンネル覆工用の中流動コンクリートを使用し、実大規模のセントルでの施工実験を実施。検証の結果、バイブレータの稼働のタイミングや作動時間を、労働者の感覚に依存することなく、計測値に基づき定量的に制御でき、脱型後の表面観察や表面透気係数試験など所定の品質基準を満たしていることを確認した。また、異なるメーカーの2種類のコンクリートポンプへの適用が可能であることを確認した。
現在は、道路トンネル現場で新システムを試行しており、今後は施工結果をもとに技術のブラッシュアップを図る。さらに、セントルセットや養生など他工程の自動化を進める。
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