トンネル切羽アーチ面のコンクリート吹付け厚計測システムを開発、大成建設山岳トンネル工事

大成建設は、山岳トンネル工事における切羽アーチ面へのコンクリート吹付け厚計測システム「T-ショットマーカーアーチ」を開発した。切羽前面の鏡面を対象とした「T-ショットマーカーフェイス」と併用することで、切羽全体の吹付け厚を総合的に計測し、管理できるようになった。

» 2024年08月21日 15時00分 公開
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 大成建設は2024年8月20日、マックと共同で、山岳トンネル工事における切羽アーチ面へのコンクリート吹付け厚計測システム「T-ショットマーカーアーチ」を開発したと発表した。コンクリート吹付け機に搭載した2台の3D-LiDARを連携制御して、アーチ面の吹付け厚と出来形を面的かつ定量的に計測、可視化して一括管理する。新システムは、大成建設施工の道路トンネル工事で検証を行い、有効性を確認した。

T-ショットマーカーアーチの概要 T-ショットマーカーアーチの概要 出典:大成建設プレスリリース

 大成建設では2023年から、切羽前面の鏡面を対象に、3D-LiDARでコンクリート吹付け厚をリアルタイムに計測する「T-ショットマーカーフェイス」を開発し、運用してきた。今回、鏡面だけでなく、周囲のアーチ面の吹付け厚の計測、評価を加えた切羽全体での品質管理を目的に、新システムを開発した。新システムの「アーチ」と既開発の「フェイス」の2種類のT-ショットマーカーを併用することで、切羽全体の吹付け厚を総合的に計測し、管理できるようになった。

切羽面の分類 切羽面の分類 出典:大成建設プレスリリース

 吹付け機のモニターには、アーチ面の吹付け厚と出来形の2つの展開図が表示されるため、吹付け作業の進捗状況を一括で可視化できる。また、計測対象の吹付け面を座標化することで、設計断面と3Dでの比較が行える。作業中に面的な吹付け厚の過不足を把握しながら、トンネル内空断面の出来形を正確に確認可能だ。

 さらに、計測結果と設計断面情報をもとに、吹付け時のリバウンド量を加味して必要なコンクリート量を自動的に算出する。作業進捗に伴って残りの吹付け作業に必要なコンクリート量を再計算して表示する機能も備え、生コンクリート注文量の過不足を防止する。

 大成建設では、新システムを全国の山岳トンネル工事で展開し、現場状況に合わせて改良を加えていく。今後もコンクリート吹付け作業の完全自動化など、山岳トンネル工事に関わる施工工程の自動化や機械化技術の開発を推進する。

モニターと表示ルール例 モニターと表示ルール例 出典:大成建設プレスリリース

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