2種のAIで下水道管路内部のスクリーニング調査を効率化、奥村組：スマートメンテナンス

奥村組とジャストは、下水道管路の調査を効率化できるソフトウェアの拡張機能として、画像から物体や損傷を抽出する2つのAI機能を実装した。

[BUILT]

　奥村組は2025年12月15日、ジャストと共同で、下水道管路の調査を効率化できるソフトウェア「スマカン」の拡張機能として、「管構造抽出AI」と「損傷可能性抽出AI」を実装したと発表した。新機能を活用することで、スクリーニング調査の点検精度を確保しながら作業の効率化を実現する。

点検／報告書作成のワンストップオペレーション　出典：奥村組プレスリリース

　下水道インフラのスクリーニング調査は、カメラ搭載機器に管内を走行させ、撮影した動画を熟練技術者が目視点検するのが一般的だ。しかし慢性的な人材不足から省力化や省人化が課題となっていた。

　スマカンは、広角展開式カメラで撮影した下水道管路内の動画を帯状の画像にする展開画像の作成から、熟練技術者による点検／損傷判定結果の入力、調査報告書の出力までをワンストップで行える。両社は今回、画像から物体や損傷を抽出する2つのAI機能を追加した。

　管構造抽出AIは、点検結果入力の際に、管と管の接続部（ジョイント）や本管と汚水桝の接続部にあたる取付管の位置を展開画像から自動抽出する。損傷可能性抽出AIは、損傷の可能性がある箇所を自動抽出する機能で、損傷可能性が高い箇所ほど濃い赤色で表示される。

　新機能によりこれまで目視で確認していた取付管の位置や損傷箇所の抽出が自動化され、熟練技術者の配置が不要なり、点検作業の効率化につながる。ダブルチェック含む損傷箇所の特定に要する作業時間は、従来手法と比べて48％削減する。

「菅構造抽出AI」による抽出結果　出典：奥村組プレスリリース

「損傷可能性AI」による抽出結果　出典：奥村組プレスリリース

損傷特定にかかる作業時間の比較　出典：奥村組プレスリリース