建設システムが発表した建設業の防災対策に関する調査結果によると、BCPを策定している企業は69.3%で、従業員数101人以上の企業では90.8%だった。
建設システム(KENTEM)は2024年8月27日、建設業の防災対策「建設BCP(事業継続計画)」に関する調査結果を発表した。
調査は、同社製品を使用している建設会社を対象に、2024年5月28日から6月7日にかけてアンケートを実施し、KENTEM顧客企業の従業員634人が回答した。
建設業は、災害時に緊急復旧や復興工事を担うため、国土交通省をはじめ、関東地方整備局や中部地方整備局や九州地方整備局などが認定制度やガイドラインを提供している。認定制度は、建設会社での災害時の事業継続力を評価し、適合した会社を認定する制度。認定を受けた会社が自社の事業継続力をアピールできるとともに、国土交通省や地方整備局の発注する工事で、事業継続力の高い会社として優遇される可能性がある。
こうした背景により、建設業でもBCPの策定や防災対策の必要性が高まっていることを受け、KENTEMは自社製品を利用するユーザーを対象に建設BCPの実態調査を行った。
BCP策定状況の問いでは、33.3%が「完全に策定している」と答えた。「部分的に策定している」「策定中」を合わせると、BCPを策定している企業は69.3%に達した。
従業員101人以上の企業では、60.8%が「完全に策定している」となり、「部分的に策定している」「策定中」を合わせると90.8%となった。
さらに細かく分析すると従業員201人以上の企業は96.2%、301人以上は98.4%、401人以上は100%の企業がBCPを策定している。会社の規模が大きくなるほど、BCPの策定割合が増加していると判明した。
災害発生時の緊急連絡網の整備状況に関する質問では、84.5%が「整備されている」と回答した。BCPを完全に策定している層では、97.2%が「整備されている」と回答している。
BCPの策定にあたって最も重視している要素としては、「従業員の安全」が最も多く46.9%を占めた。次いで「事業活動の継続性」の43.5%となっている。
災害発生時に実施すべきことで、社内で強化が必要と思われる分野に関しては、「災害時の組織体制と指揮命令系統」が最多で50.0%。その次に「情報発信/情報共有」の49.2%、「安否確認」の43.4%の順。
災害発生時に、さまざまな応急対応を求められることがある建設業だからこそ、事業そのものの継続を意識した組織体制と指揮命令系統、情報発信/情報共有に票が集まったといえる。
また、事業継続を支える従業員やその家族の安否確認に対しても、強い関心と要望を持っていることが分かる結果となった。
今後のBCP強化で、最優先で取り組むべきだと思う項目では、「従業員への防災意識の教育」が最多で41.3%。その後に「BDPマニュアルの整備」の19.2%、「使いやすいBCP対策ツールの導入」の15.0%となっている。
一方で「社内防災訓練の実施」の11.8%も票を集め、1位の「従業員への防災意識の教育」と合わせると53.1%となることからも、防災訓練を含めた防災教育といった災害を知ることへのニーズも高い。
KENTEMは、「建設業は災害発生後できるだけ速やかに支障物の撤去や建物被害状況の確認、インフラ復旧工事といった応急業務に対応することが求められる災害関連産業という側面を持つ。災害発生直後から多くの従業員の力が必要となる。従業員の安全確保に関わる計画はもちろん、従業員が安心して仕事に従事できる環境を作るためにも、その家族の安全や安否確認も重要な課題だ」としている。
そのためのツールとして、「総合防災アプリ クロスゼロ」を提供。クロスゼロは、どんな環境でも適応できる防災リテラシーを補い、災害時の安否確認のみならず、防災情報や防災教育といった「自助」からリスクの投稿や掲示板、家族機能といった「共助」まで網羅されている総合防災支援アプリとなっている。
調査時期:2024年5月28日〜6月7日
調査対象:建設会社に勤める従業員
調査手法:アンケート調査
有効回答者数:634人
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