ALBATOROSSは、機体を壁に密着させるために高度な技術を用いている。壁に吸着させるためのパッド(グリッパ)は、神戸市立工業高等専門学校(神戸高専) 准教授 清水俊彦氏が研究する「吸い付けることでモノをつかんだり持ち上げたりする技術」を応用している。
親機には、直径20センチほどのグリッパを左右に2個装着。真空ポンプで空気を吸い込み、グリッパ2個で重量15キロの親機本体と8キロの子機を壁に吸着したまま保持できる。
親機は、壁に吸着するときの姿勢調整にも高精度な制御が必要で、開発にあたり徳島大学大学院 社会産業理工学研究部 准教授 三輪昌史氏の協力を得た。
ドローンは通常、プロペラの軸を傾けることで前進/後進するので、機体も傾いて移動していることになる。しかし、壁の吸着では、できるだけドローンを傾けずに接触する必要があった。
そこでALBATOROSSは、モーター軸の傾きを制御し、ドローンの姿勢を保ったまま壁に貼り付かせるために、三輪氏の研究している「チルト制御」を採用した。チルト制御は、菱田技研工業の上空から狙った場所に横向きに水を撒(ま)く散水ドローンでも使われている。
吸着グリッパとチルト制御のテクノロジーは、それぞれが特許を取得している。ALBATOROSSはユニークなドローンだが、確かな技術に裏打ちされて“壁面吸着”を実現しているといえるだろう。
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