NEXCO中日本は、高速道路のメンテナンスで脱炭素に向けた取り組みとして、新たに2つの技術を適用した。新技術は、高速道路トンネル内のCO2を回収する湿度スイング法の実証実験と、北陸自動車道のコンクリート製防護柵を構築した環境配慮型コンクリートの2種類だ。
中日本高速道路(NEXCO中日本)は2024年7月31日、CO2回収技術の共同研究に着手したと発表した。
新技術は、茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センターと共同で開発にあたる。乾いたフィルターでCO2を吸着した後、水を含めることで湿らせてCO2を脱離し、CO2を水から分離させて回収する技術(湿度スイング法)を採用。CO2を効率よく回収するには、常時一定方向に風がある環境が望ましいため、換気による風の流れがある高速道路トンネルが対象となる。
湿度スイング法によるCO2回収技術は、これまで実構造物で実証していなかったため、高速道路でフィルターや給水設備、水とCO2を分離して回収する設備を構築し、低エネルギーで効率的にCO2を回収する実証実験を行う。
また、環境配慮型コンクリートを新たに導入したことも併せて発表した。環境配慮型コンクリートは、材料となるセメントの一部を高炉スラグやフライアッシュなどに置き換え、CO2排出量を削減する。NEXCO中日本は、既存のコンクリートと比較してCO2の排出量を40%以上削減できるものを環境配慮型コンクリートと定義している。
NEXCO中日本は、2022年3月に公式Webサイトで環境配慮型コンクリートの情報を広く募集。提供があった23社38製品の技術情報や土木学会の指針などを参考に、学識経験者、環境配慮型コンクリートの開発者から成る「環境配慮型コンクリートの適用に関する技術検討会」を設置し、2023年11月に「環境配慮型コンクリート設計・施工管理要領(低炭素型コンクリート編)」を制定した。
2024年7月には、環境配慮型コンクリートを用い、E8 北陸自動車道 阿久和川橋(上り線)でコンクリート製防護柵を構築した。防護柵は横長が25メートル、コンクリート量が約20立方メートルで、前田建設工業が施工を担当した。NEXCO中日本によると、高速道路で初の事例で、1立法あたりのCO2排出削減率は約65%になるという。
今後は環境配慮型コンクリートの施工方法や性能の照査方法、適用範囲について検証し、さらなる導入の促進を図る。
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