ヤンマー建機は、1993年の初代機から数えること30周年を迎えた「ViOシリーズ」の第7世代となる最新機種を発売した。新モデル2機種の「ViO30-7/ViO35-7」は、今後の小規模〜中規模現場でのICT建機の活用拡大を見据え、「穴を掘り、持ち上げ、旋回して、排土する」の掘削全プロセスを徹底的に見直したスペックを備える。
小型建設機械のパイオニアとなるヤンマー建機は、「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)の屋内と屋外のブースで、1993年に誕生し、2024年に30周年を迎えた「ViOシリーズ」の最新機種を披露した。
屋内ブースに展示したのは、2024年5月10日に発売したばかりの後方超小旋回ミニショベル「ViO30-7」と「ViO35-7」。ともにViOシリーズの第7世代に当たる機種で、従来モデル「ViO30-6C/ViO35-6C」と比較して、走行性と作業性で大幅な進化を遂げている。
「穴を掘り、持ち上げ、旋回して、排土する」の掘削の全プロセスを徹底的に見直し、建機のアームに取り付けて使用するグラップルやブレーカーなど各種アタッチメントの油圧供給を最適化し、作業効率の向上を図った。その結果、両機種とも、従来モデルと比較し、掘削サイクルタイムの7%短縮に成功。旋回トルクも、ViO30-7で43%、ViO35-7で10%向上した(数値はヤンマー建機の測定方法に基づく。他の性能比較値も同様)。
販売促進部 専任課長 橋本和俊氏は、「油圧ショベルはディーゼル回転運動を油圧に置き換えて駆動させるもので、いわば“エネルギー損失の塊”。いかにエネルギーロスを減らせるかは建機メーカーの腕の見せ所となる」と話し、第7世代の進化に自信を示す。
ViO30-7とViO35-7の搭載エンジンは、従来モデルと同じ「ヤンマーTNVエンジン」で、出力は18.5kW/2200min。ただ、走行モーターの押しのけ容積(モーター1回転当たりに押し出す油の容積)を最適化することで、平たん地での最高速度が従来モデルと比べて7%向上した。ViO35-7は、油圧ポンプ性能の改善によって、ViO35-6Cと比べて登坂速度が最大25%アップし、傾斜地での土工作業をより効率的に行える。
操作環境面も大幅に改善した。運転席のモニターに4.3インチカラー液晶モニターを採用し、機器の稼働状況や異常状態などが格段に見やすくなった。オプション機能として、モニター画面からアタッチメントごとの油圧流量は、5パターンまでを設定できるようになった(AUX2:油圧2系統P.T.O仕様のみ)。ヤンマーオリジナル油圧式クイックヒッチ「ダブルロッククイックヒッチ」搭載機は、運転席から降りることなく、座ったままスイッチ操作1つでバケットやアタッチメントを交換できる。
安全面では、バックカメラのオプションを装着。もともとViOシリーズは、旋回時に後部の位置を車幅内に抑えることで、巻き込みや接触事故を回避する安全設計を基本思想に持っている。バックカメラは、後進時の後方の視認性を高めたいとのユーザーからの要望を受けて対応した。
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