積水ハウス建設は、2024年4月入社の住宅建築を担う社員工「クラフター」として、前年の3.4倍にあたる134人を採用した。併せて2024年度から、自社訓練校の育成カリキュラム見直しや新たな人事評価制度の導入など、多能工人財の育成強化と待遇改善を図った。
積水ハウスグループの積水ハウス建設ホールディングスは、2024年4月入社以降の高校卒業予定者を中心とした住宅建築を担う社員工「クラフター」として、前年の3.4倍にあたる134人を採用したと2024年5月に発表した。
建設業界では「2024年問題」への対策が求められている一方、国内住宅需要への対応と、高い耐震性や断熱性を備えた良質な住宅ストックの形成に向けた担い手が強く求められている。そこで積水ハウス建設は、全国3カ所ある教育訓練センターや訓練校でのカリキュラム変更と施設改修を実施した。
入社時の半年間の技能研修では、主に賃貸住宅の躯体となる重量鉄骨3〜4階建て(βシステム)の実習施設を大型に建て替え、実習カリキュラム時間を外装コースで41時間から84時間に増やした。積水ハウスで施工の担い手が求められているβシステムの技能を研修段階から習得できるように研修時間を大幅に増やし、現場に出てからもすぐに実践に移れるようにした。
多能工人財の育成を目的に、現役クラフターを対象とした型式/工種に応じた最大2週間の技能研修を前年度比約2倍(5研修→9研修)とし、入社後の訓練校での多能工育成体制を強化する。訓練生の増加に伴い、講師役のトレーナーも、前年比1.7倍増となる19人から32人に拡充。多くがクラフター経験者で、訓練生は研修段階から現場技術習得が可になる。
また、これまでの「施工技能者」という名称を改め「ホープ」「クラフター」「チーフクラフター」「マスタークラフター」という4つの職務等級に見直し、新評価制度を導入。スキルマトリックスによる評価で、職方の役割やスキル、キャリアの見える化が実現する。クラフターから、工程管理や品質管理を行う工事責任者への職種変更もできるようになる。
さらに、2024年4月に新入社員の初任給を最大約9%引き上げた(2023年4月も最大11%UP)。新人事制度導入から、チーフクラフターの待遇を大幅に改善し、30代で現在年収500〜600万円から、最大約1.8倍にあたる約900万円まで引き上げる。クラフターが仕事に集中して働きやすく、一生涯安心して良質な住宅建築に貢献できるよう就業環境を整備した。他にも、現場のイメージアップと社員の満足度向上を図るため、ビームスに依頼して統一したユニフォームも制作し、2024年度から夏冬用、防寒服、空調ウェアなどの一式を全国のクラフターが着用することになる。
働き方改革でも、建設業ではまだ完全実現が少ない「4週8休」「年間休日125日」「完全週休2日」「男性育休取得率100%」を継続する他、積水ハウスグループの大規模な工事数を生かして業務ピークを平準化していく。
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