中小建設業にも広がる人事・労務管理のデジタル化 効率化で時間を創出し、働きやすい職場づくり進める建設業界の新3Kを支援するソリューション(1/2 ページ)

建設業の労働力不足への対応として、人材の確保や育成、労働条件の改善などが急務となっている。この取り組みを進める上で欠かせないのが、デジタル技術活用による人事・ 労務管理の高度化だ。クラウド人事労務ソフトを展開するSmartHRに、労務領域のデジタル化の現状について聞いた。

» 2024年03月29日 13時55分 公開
[黒岩裕子BUILT]

 建設業は少子高齢化に伴う労働力不足、就業者の高齢化率の上昇、2024年4月から始まる残業時間の上限規制などにより、深刻な人手不足が懸念されている。この課題への対応として、人材の確保や育成、労働条件の改善などが急務となっているが、取り組みを進める上で欠かせないのが、デジタル技術活用による人事・ 労務管理の高度化だ。

 現状では中小企業において、労務領域のIT化は進んでいないといわれている。しかし、業務効率化に向けて、デジタル技術を活用しようとする動きは企業規模を問わず着実に広がりつつあるようだ。

人事・管理業務の効率化を進め、定着率向上施策に充てる

SmartHRの画面イメージ SmartHRの画面イメージ 提供:SmartHR

 クラウド人事労務ソフト「SmartHR(スマートエイチアール)」を提供するSmartHR社の東日本パートナービジネス部 アライアンス課 芝田桜次郎氏によれば「いわゆる『2024年問題』を控え、建設業からも問い合わせが増加傾向にある。デジタルツールを活用して人事・労務管理業務を効率化するだけでなく、効率化により生み出された時間を、従業員の定着率を上げる働きやすい職場づくりや、スキルアップ支援に使うことに意識を向けている企業は多い」と話す。これは大企業だけに見られる傾向ではない。SmartHRのユーザー企業の比率をみると、従業員100人以下の企業が約1割を占めるという。

 SmartHRの機能は大きく分けて、入社/退職手続きや給与明細発行などを行う「人事・労務管理」、蓄積した従業員情報を人事や育成、採用に生かして組織改善につなげる「タレントマネジメント」の2点だ。価格はプランや利用人数によって異なる。

 労務管理機能では、各種書類の作成やチェック作業、社内の申請/承認作業などを効率化する。例えば新入社員の入社手続きや雇用契約を行う際には、労務担当者がメールを通じて入社情報の提出を依頼。新入社員は自身のPCやスマートフォンから、指定されたURLにアクセスし、必要事項を入力して手続きを完結する。労務担当者が各種書類やデータベースへ情報を転記する必要がなくなり、書き漏れなどで生じる追加のやりとりも不要だ。さらに、新入社員が記入した情報をもとに、社会保険/雇用保険の手続き書類を自動作成し、作成後はそのまま電子申請が行える。

 また、従業員は建設現場に直行/直帰することも多い。給与明細や源泉徴収票の受け渡しや、年末調整などの手続きをオンライン化することで、労務部門の負担を軽減するとともに、従業員が本社に立ち寄る負担も軽減する。

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