伊藤氏は、情報が少なすぎたり、逆に作りすぎたり、品質が低すぎたりといった日本でのBIMの問題点を列挙し、「10年ほど前までは海外でも同様なことが起きていた」と指摘する。その有効策が、情報マネジメントととなる。
BIMで発生している問題を解消するには、技術、人、プロセスを三位一体で連携し、情報マネジメントによって管理することが欠かせない。伊藤氏は、「今のBIMは技術ではない。現在、世界でやっているBIMは情報マネジメントだ。そして、BIMを含む建築・土木に関する情報を統合/デジタル化し、社会課題の解決に向けて活用するための要求事項を規定したものがISO 19650となる」と提言。
情報マネジメントは、設計・施工・運用の情報をBIMでつなげる。つなげた情報を活用することで、生産性向上をはじめ、労働安全衛生やカーボンニュートラル、情報セキュリティといった持続可能な社会(デジタルウェルビーイング)の実現に向けた課題が解決し、本当の意味でのDXへと至る。伊藤氏は、「こうした課題解決への道筋をあらかじめ計画しておくことが大切となる」と付け加えた。
この後、伊藤氏は2024年6月から、BSIジャパンで日本向けに運用段階にあたる「ISO 19650-3」の情報マネジメント講習を開始すると案内し、講演を締めくくった。
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