BIMの根幹となる“情報マネジメント”は、設計〜製造〜施工〜運用の建設生産プロセスで、あらゆる情報が“つながる”ことを意味する。BIMによる情報マネジメントが可能になれば、単にIT化や業務効率化だけでない業界や産業を超えたDX=変革が実現し、その先には建設からのアプローチによる持続可能(サステナブル)な社会ももたらされる。
建設業における課題の解決には、BIMが有効という考えが広まり始めている。BIMプロセスイノベーション代表の伊藤久晴氏は、BSI(British Standards Institution:英国規格協会)の日本法人BSIグループジャパン(略称:BSIジャパン)が主催するセミナー「デジタルトランスフォーメーションと建設業の未来―サステナビリティへの道」に登壇した。
「世界の建設業が共に目指すBIMによる業務改革と社会課題の解決へ」と題し、建設業を含む社会課題の解決には、設計や施工に関する全ての情報を統合して、情報をマネジメントすることが必要と説いた。BIMによる情報のマネジメントで目指すのは、業界や産業を超えたDXであり、最終的には持続可能な社会の実現につながる。
現在の建設業には、多くの解決すべき課題が存在している。伊藤氏は、まず日本の建設業が抱える課題を提示しつつ整理した。その課題の多くは、建設業固有の産業構造や商習慣に起因し、発注者、設計者、施工者のそれぞれが抱えている。
伊藤氏は、こうした課題は必ずクリアすべきとしながらも、「簡単に対応できるものではなく、根本的な構造改革、意識改革が必要になる。単純に、BIMソフトやクラウドなどを活用した共通データ環境(CDE)、またはロボットなどのICTを導入するだけでは、解決できないのは明白だ」と語る。
伊藤氏は海外での先行事例として、英国をはじめとするニュージーランド、マレーシア、ベトナムなどの課題解決に向けたBIM活用の試みを紹介した。
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