フリーズテックシリーズの生地には、裏地にエリスリトールやキシリトールを含有した冷感プリントを施しており、水分(汗)を吸収すると吸熱特性により生地温度が下がって冷感を付与する。一方で、炎天下などの酷暑環境下の場合、外気の上昇や直射日光を浴びることで衣服内温度が急上昇し、冷感プリントによる冷感効果を感じにくいという課題があった。
氷撃αでは衣服内の快適性に着目し、人が快適と感じる肌の表面温度26〜32℃の温度帯に衣服内温度をコントロールすることを目指した。コンフォーマを使用した温度調節繊維と、太陽光からの熱を軽減する遮熱繊維を独自の配合で編み立てしたオリジナルの生地に冷感温度調節プリントを施し、汗や湿気を利用して生地の温度を下げる他、環境温度変化に対応して生地が吸熱や放熱を繰り返すことで冷感を持続する。これにより、酷暑でも衣服内を快適域に近づけることが可能になった。
なお、洗濯耐久度性能試験で洗濯後の涼感性能の差を比較したところ、50回洗濯後でも最大でマイナス0.8℃と、初期性能の約70%をキープした。
住友化学が開発した温調樹脂コンフォーマは、樹脂繊維の相転移(固体と液体の間などの物質の状態変化)による潜熱を利用できるように設計した新しいポリマーで、既存材料と異なり、固体の状態を維持したまま吸熱と放熱を行える。コンフォーマを使用した衣服を着用すると、環境温度に急激な変化があっても、繊維自体の温度変化は緩やかに抑えられるため、快適な温度状態を長時間維持できる。また、原料の3〜4割が植物由来成分だ。
住友化学の取締役兼副社長執行役員の上田博氏は「フリーズテックの生地には、当社の画期的な技術である温調樹脂コンフォーマから作られた繊維が使われている。コンフォーマを使用して作られた繊維には温調機能が備わり、衣服や寝具に応用すれば、暑い時は吸熱を、寒い時には放熱をすることで快適な温度を長時間保持できる。温調樹脂や温調繊維の技術は、今後アパレル用だけではなく、産業素材も含むあらゆる分野に応用展開していきたい」と話した。
また、ユタックスの代表取締役 宇高大介氏(高ははしご高)は「当社では長年、肌着の機能について長年研究開発を続けてきた。国内外の繊維企業が開発した繊維に、後加工により高機能を付加する技術で、冷感効果を得られるキシリトールを配合したプリント技術もその1つ。今回、住友化学との機能繊維の開発に、当社のプリント技術が付加機能として採用されたことで、さらに機能性の向上を実現した。新製品が世界中の酷暑を和らげることに役立ってもらえれば」と期待を寄せた。
なお、氷撃αの海外展開について、リベルタの佐藤氏は「2024年3月に北米に現地法人を設立した。暑さ対策が求められる作業着向けやスポーツシーン、警察や消防などの公的機関などさまざまな企業や組織との商談が進んでいる」と明かした。
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