複合式圧入機の新機種を技研製作所が2024年8月に発売 硬質地盤の施工効率を向上製品動向

技研製作所は、900ミリ幅ハット形鋼矢板対応の複合式圧入機「サイレントパイラー F302」を新たな圧入機のラインアップに追加する。最大トルクは、従来品比で約2.7倍の138キロニュートンメートルに向上した。

» 2024年05月21日 08時00分 公開
[BUILT]

 技研製作所は2024年8月に、900ミリ幅ハット形鋼矢板対応の複合式圧入機「サイレントパイラー F302」(以下、F302)を発売すると発表した。

900ミリ幅ハット形鋼矢板対応「F301」の後継機

複合式圧入機「サイレントパイラー F302」 複合式圧入機「サイレントパイラー F302」 出典:技研製作所プレスリリース

 複合式圧入機とは、チャック、チャックフレームおよびアタッチメントを取替えることで、単独圧入、ウオータージェット併用圧入、硬質地盤圧入と3種の施工方法を選択できる杭圧入引抜機。1台でさまざまな施工環境、現場条件に1台で対応できる。

 F302は、フライホイール機構のパイルオーガを標準で採用。油圧モーターの動力を伝える回転軸に重りを組み込み、回転の慣性モーメントでの最大トルク(一定条件下)を138キロニュートンメートルに増強し、従来機の「F301」は50キロニュートンメートルだったため、安定したオーガ回転を維持し、トルクアップに対する機体の適応性を高めた結果、掘削速度も向上している。

フライホイール式パイルオーガの仕組み フライホイール式パイルオーガの仕組み 出典:技研製作所プレスリリース

 また、リーダーマスト(圧入杭の上下打ち抜きのガイドや左右位置の決定を担う箇所)の旋回ロックやチャックの回転ロックを強化。オーガ掘削時に圧入機本体の姿勢を固定することで、回転トルクを効率的に伝える。掘削能力や施工精度の向上に寄与する。

チャック回転ロックの強化 チャック回転ロックの強化 出典:技研製作所プレスリリース

 さらに、オプションの「PPTS 自動運転」システムにも対応。PPTS 自動運転システムは、圧入中に自動で取得したデータから圧入し、引抜ストロークや圧入、引抜速度といった条件をリアルタイムで最適化して、自動圧入するものだ。F302ではパイルオーガにおけるケーシングの連結方法を見直しており、自動運転時の効率が向上した。

 その他、オペレーターが杭の先端に集中できるように最適な情報を提供する液晶型の多機能モニターを搭載した他、単独仕様のチャック向けに新たに開発したキャッチアームも採り入れている。

新開発のキャッチアームを採用 新開発のキャッチアームを採用 出典:技研製作所プレスリリース

 圧入力は、単独圧入、ウオータージェット併用圧入時で1000キロニュートン、硬質地盤圧入時で800キロニュートン。引抜力は、単独圧入、ウオータージェット併用圧入時で1200キロニュートン、硬質地盤圧入時で900キロニュートンとなっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.