技研製作所グループ企業の技研アジアは、鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー」をシンガポールの建設専門工事会社に納入した。今後も、同地で増えている硬質地盤工事の需要に、独自のジャイロプレス工法で応えていくという。
技研製作所のグループ企業で、シンガポールに本社を置くGiken Seisakusho Asia(以下、技研アジア)は2024年1月10日、鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー GRV1230」を同地の建設専門工事会社で技術提携先の「Guan Chuan Engineering Construction(以下、Guan Chuan)」に納入したと明らかにした。東南アジアのユーザーに、ジャイロパイラーを納入するのは初。
ジャイロプレス工法は、先端に切削爪を付けた鋼管杭を回転圧入することで、硬質地盤や既存構造物を貫通し、粘り強いインプラント構造物を急速構築する工法。既存構造物を打ち抜けることから残置物の撤去が要らず、掘削機による事前掘削も不要で、工費や工期を縮減できる。コンパクトな機体による“省スペース”“仮設レス”施工、“無振動・無騒音”施工が実現する。
シンガポールは、国土が狭く、施設や人口が密集する中での施工が求められるケースが多く、近年は、硬質地盤の工事案件が増加している。ジャイロプレス工法は、既存施設がひしめく現場における再開発事業や運河の護岸改修、海面水位上昇に備える堤防のかさ上げといった国土強靭化事業などでの採用が想定される。
納入先のGuan Chuanは硬質地盤対応機をシンガポールで初導入し、工法普及を自ら行うことで市場開拓してきた強力なパートナー。ジャイロパイラーによる鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法」は、日本では1000件以上の採用実績があり、海外でも着実に広がっているものの、同国での実績はいまだなく、現地に実機がなかったことから提案活動が難しく、案件創出に時間がかかってた。今回の納入により、工法採用の具体化が進むことが期待される。
現地で実施したデモンストレーション会では、シンガポールの政府関係機関、建設コンサルタント、元請業者など80人以上が参加。再開発や高潮、洪水対策など、ジャイロプレス工法の優位性が生かせる多様なプロジェクトを計画する上流層へのアピールの場になったという。
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