工期基準を改定、適正な工期を確保した見積もりの提出が努力義務に2024年問題

中央建設業審議会は、建設工事の適正な工期の確保に向けて「工期に関する基準」を改定し、実施を勧告した。受発注者の責務を拡大し、当初契約時だけでなく契約変更時も含めた適正な工期設定の必要性を明記。受注者に対して、時間外労働規制を順守した適切な工期が確保された見積もりを提出することを努力義務として位置付けた。

» 2024年04月03日 18時00分 公開
[BUILT]

 国土交通省は2024年3月29日、中央建設業審議会で見直しが行われた「工期に関する基準」の改定内容を発表した。受発注者の責務として、当初契約時だけでなく契約変更時も含めた適正な工期設定の必要性を明記した他、受注者に対して、時間外労働規制を順守した適切な工期が確保された見積もりを提出することを努力義務として位置付けた。

 工期に関する基準は、適正な工期での請負契約による働き方改革の推進を目的に、中央建設業審議会での審議を経て、2020年7月に作成、勧告された。2024年4月から建設業でも罰則付きの時間外労働上限規制が適用されることを踏まえ、3月27日開催の中央建設業審議会で見直しが行われ、実施が勧告された。

 今回の改正では、建設業の持続可能性確保に向けて、受発注者間でパートナーシップを構築する意義について記載した。また、発注者に対しては、受注者や下請負が時間外労働規制を順守できる工期設定に協力し、違反を助長しないよう留意する旨を記載した他、受注者から適正な工期が確保された見積もりが提出された場合、内容を確認して尊重する必要があると明記した。

 工期全般や工程別に考慮する事項として、使用者の指揮命令下で技能労働者やオペレーターが営業所と建設現場間を移動する時間なども労働時間に含まれ得ることや、運送業者が物品納入に要する時間についても労働規制の順守を前提に適切に考慮する必要性を追記した。

 また、工期の設定や見積もりに当たって考慮すべき自然要因として、猛暑日における不稼働を考慮する旨を追記。十分な工期の確保や交代勤務制の実施などに必要な経費を、請負代金の額に適正に反映させる必要性も明記した。労働者の安全や健康の確保では、勤務間インターバル制度の導入が有効として、取り組み事例も紹介している

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