賃上げに必要なことについて聞くと、全業種の67%の企業が「製品/サービス単価の値上げ」と回答した。続いて「製品・サービスの受注拡大」が58.7%、「従業員教育による生産性向上」が51.6%と半数を超えた。2024年問題を目前にした建設業では、「従業員教育」と回答した企業の割合が60.1%と全業種中で最も高かった。
賃上げの内容は「定期昇給」が81.5%と最多で、「ベースアップ」の62.5%、「賞与(一時金)の増額」の43.3%が続く。ベースアップの実施は2023年8月調査から6.1ポイント上昇して6割を超えた。実質賃金の目減りが続く中、賃金底上げを図る企業が増えていることが分かった。なお、「新卒者の初任給の増額」は大企業の40.4%に対し、中小企業は24.7%にとどまった。
2024年度に賃上げしない理由では、過半数の53.8%が「コスト増加分を十分に価格転嫁できていないため」と回答した。「原材料価格/電気代/燃料費などが高騰しているため」が約半数の48.7%、「受注の先行きに不安があるため」との回答は44.3%だった。「2023年度の賃上げが負担となっている」と答えた企業も16%あった。
東京商工リサーチでは「身の丈を超えた無理な賃上げは企業の業績悪化に拍車を掛けかねない」と警鐘を鳴らす。2023年は人件費高騰による倒産が過去最多の59件発生している。物価高や円安、人手不足に加え、マイナス金利解除の可能性など、企業を取り巻く環境は複雑化していることから、「今後、過去最高の賃上げが実施されたとしても、企業業績に与える影響を注視していくことが必要だ」とまとめた。
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