Safie GO 360を近々、約30台導入予定と口にするアイダ設計の堀江氏は、有用性について、「住宅建設の現場では、道幅分の6メートル離れて撮影しても上部しか映らず、何が完了して、誰が現場入りしてるのかまでは分からない。Safie GO 360を現場で使ってみると、仮設電柱で人の目線の高さに取り付けるだけで、建屋から基礎部分まで見えることに衝撃を受けた。職人にとっても、常に見られている意識が生まれるので、緊張感を持って作業にあたってもらえる。(管理者からすれば)映像はエビデンスにもなるので、施工不良もなくなるだろう」との感想を漏らす。
機能追加の要望や使い方の可能性については、「アナログ規制緩和で遠隔巡視が解禁されるが、管理者が長時間の映像を見なければいけなくなるのでは本末転倒になってしまう。AIが映像を解析して、不具合や危険性があれば施工管理アプリに通知する自動化の機能をセーフィーには開発してもらいたい。他にも、注文住宅のユーザーは消費者なので、3〜4カ月の間に家が出来上がるまでの記録をタイムラプス映像で残して、引き渡し時に付加価値のサービスでデータを渡せたら喜ばれるはず」とアイデアを明かす。
清水建設の大垣氏によれば、以前は自社開発したカメラソリューションを使用していたそうだが、配信までのフローが複雑で、データ量が多くネットワーク負荷が掛かり、通信に支障を来すこともあったという。Safie GO 360は「そうしたトラブルも生じず、高層ビル工事では、建物内の床から天井までを撮影し、後で配線や空調設備などの施工状況を拡大して、隅々までチェックできるのがメリット。現場管理では若手、中堅、ベテラン社員で見るべき箇所がそれぞれ異なるが、取り逃がしや取り忘れも起きない」と強調する。
石崎氏は、「広範囲な土木工事では、全てを記録するとなると、カメラが何台も必要。遠隔操作で首振りを制御するPTZ(ピーティーゼット)カメラも利用していたが、誰かが操作した後にカメラが向いてない方向は、当然ながら撮れていない。広角で映像を取得するSafie GO 360は1台置いておくだけで事足りる」と現場適用後の実感を述べる。
これからの展望で大垣氏は、「現場に多数のカメラを設置し、撮影映像をもとにデジタルツインを構築して、リアルタイムの分析やシミュレーションが可能な環境を整えていければ。単なる映像の閲覧や保管だけでなく、ネクストステップとして、得られたデータを解析して施工プロセスの改善につなげていきたい」と話す。
補足で石崎氏は、現在デジタルツインのツールとして、360度画像を図面の位置情報とひも付けて記録する「OpenSpace(オープンスペース)」を使用しているため、Safie GO 360の即時性を生かした形で、OpenSpaceのストリートビュー上に現場のタイムリーな空間情報を認識するといった構想も検討しているとした。
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