建設現場向けにクラウド録画カメラを展開するセーフィーは、固定設置型の定点観測カメラ「Safie GO」シリーズに、建設現場全体を1台で撮影する「Safie GO 360」を追加した。撮影した広角の映像は、360度上下左右に動かせ、隅々まで取り逃しがなく、施工品質の確保や労働災害防止に役立ち、2024年問題の解決や同年6月にも解禁される遠隔巡視に対応した建設ICTツールとなっている。
セーフィーは2024年2月1日、建設現場の施工管理や防犯に使えるクラウドカメラ「Safie GO(セーフィー ゴー)」シリーズの最新モデル「Safie GO 360」を発売した。市場投入に先立ち2024年1月30日には、東京都品川区西品川の本社で導入企業の清水建設とアイダ設計によるユースケース紹介も交えた新製品発表会を開催した。
新機種のSafie GO 360は、360度全方位を広範囲で撮影する“魚眼レンズ”を備え、建設現場全景を死角なしで可視化する。撮影した映像は、他のラインアップ同様にLTE通信でクラウドに保存し、本社や事務所などの遠隔地から現場確認が実現する建設ICTツール。
発表会の冒頭、セーフィー 営業本部 第2ビジネスユニット部長 渡部郁巴氏は、「当社は2024年で創業10周年のベンチャー企業。あらゆる映像とクラウド、そしてAI技術を駆使し、人々の“第3の目”となり、さまざまな業種で日々の意思決定をスピーディーかつ効率化することを目指している」と企業理念を説明した。
その理念に基づき開発したSafie GOシリーズは、LTEルーター内蔵のクラウド型防犯カメラで、これまでに4機種をリリースしている。現場でのカメラ設置は、電源プラグをコンセントに差すだけで完了し、LTEルーターも内蔵してるため、通信工事も不要で即使える。IP66の防水/防塵(じん)で屋外使用にも耐え、その扱いやすさから、大手ゼネコンから地場建設会社、住宅メーカー、電力や鉄道のインフラ関係、オフィスやビルの管理、物流などで幅広く採用され、建設分野だけでも数万台の出荷実績を有する。
セーフィーの製品説明でクラウド型と称しているように、撮影映像はクラウドのプラットフォームに暗号化技術で自動伝送し、万一のハッキングからも守る強固なセキュリティを担保している。閲覧には、PCのWebサイト、タブレットやスマートフォンのiOS/Andoridに対応するアプリ「Safie Viewer(セーフィー ビュワー)」でリアルタイムまたは過去の記録に関わらず、いつでも、どこでも視聴できる。Safie Viewerは、UI/UXにセーフィー自身のこだわりがあり、「誰でも直感的に使える操作性を持たせた」(渡辺氏)。
新たにシリーズに加わったSafie GO 360は、従来機の電源につなぐだけの手軽さはそのままに、ユーザーから多く寄せられた「現場を広範囲で撮影できるカメラ」の要望に応えて開発した。
従来は、天井や床下などの施工進捗や業者の出入りまでを把握するには、複数台のSafie GOを配置する必要があった。施工中も、カメラを設置した仮設電柱よりも高い足場が組まれてカメラを遮(さえぎ)ったり、高層ビルでは躯体の柱と梁(はり)が地上に組まれると、部分的にしか映らなかったりといったトラブルが起きていた。また、定点カメラでは、工事状況と周辺道路の双方を見渡せないため、工事車両の不適切な通行などが原因で、近隣住民からクレームが来ることもあったという。
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