ニュース
» 2023年10月26日 06時51分 公開

千葉の地場ゼネコン「旭建設」が“新卒の離職率ゼロ”にできたワケ建設業界に一石を投じるICTインターンシップ(1/2 ページ)

千葉県内で地域密着型の建築工事を展開する「旭建設」が企画している学生向けインターンシップ。学生で参加した直近4年の新入社員は、現時点で離職率ゼロだという。地場ゼネコンが若年層にどのように建設業の魅力を伝え、人材確保につなげているか、ワークスモバイルジャパンなどの建設ICTベンダーも参画する業界では珍しいインターンシップを取材した。

[川本鉄馬BUILT]

 旭建設が企画している「インターンシップ共同実施プログラム」では、建設業界の複数社が共同でインターンシップの場を提供している。建設業に興味を持つ学生の就職活動で、複数の受け皿とするのが目的だ。

学生に業界の魅力をダイレクトに伝えられる機会

 共同インターンシップを企画し、主導するのは、千葉県千葉市に拠点を置く旭建設だ。旭建設がインターンシップを共同で行うのには理由がある。

 人材不足の解消という課題を抱える建設業にとって、インターンシップは学生に業界の魅力をダイレクトに伝えられる絶好の機会だ。しかし、魅力を正しく伝えるための受け入れ態勢やプログラムの用意といった準備は、企業側にとって負担だった。複数社が共同で実施するインターンシップであれば、準備や動員を効率化できるため、参加する企業1社あたりの負担が減らせる。

旭建設によるインターンシッププログラムの概要説明。会場には10人ほどの学生が集い、今回は25人の学生が参加した 旭建設によるインターンシッププログラムの概要説明。会場には10人ほどの学生が集い、今回は25人の学生が参加した 筆者撮影

 学生にとってもメリットは増えており、かつては目指す業界での仕事体験の場といった意味合いが強かったインターンシップも、昨今は単位取得に必要なプログラムと位置付ける学校が増えている。言い換えるなら学生にとって、インターンシップ参加が卒業の必須条件となったわけだ。だが、インターンシップを受け入れる企業には限りがある。その結果、希望する企業や興味のない業界でのインターンシップを余儀なくされるケースが多発していた。

 その点、共同インターンシップは、建設業界での仕事を体験する窓口と受け皿を広げている。インターンシップの共同実施プログラムは、このような企業側と学生側の課題を解決し、双方にとって利益を生む。

建設業3社と建設ICTベンダー2社のコラボ

 今回、参加したのは合計5社で、主催の旭建設に加え、千葉県千葉市の伊藤工務店、船橋市のケイグリッドといった建設業に加え、建設ICTベンダーのワークスモバイルジャパンとフォトラクションが協力した。

 旭建設は公共建設、商業建設、戸建て、マンションなどの建築一式、伊藤工務店は道路や下水道などの土木一式、ケイグリッドは内装工事を中心に千葉県内で展開している。異なる工種の3社がプログラムに加わることで、学生は建設の各フェーズでリアルな仕事に触れられる。

 ワークスモバイルジャパンとフォトラクションは建設業ではないが、ICTで建設業をサポートする会社としてプロジェクトに協力している。

 ワークスモバイルジャパンは、ビジネスチャット「LINE WORKS」でインターンシップ参加中の学生同士や参加企業と学生間のコミュニケーションをサポートする。

ワークスモバイルジャパン 田記由季子氏 ワークスモバイルジャパン 田記由季子氏

 LINE WORKSは、作業人員の確保やスケジュール調整といった用途で、高セキュリティと使いやすさから建設業で支持されている。工事現場では、突発事項の連絡や情報共有でスピードが求められるため、ビジネス用LINEともいわれる手軽さで、即時に伝えられるチャット機能が役立つ。

「LINE WORKS」と対面コミュニケーションの違い 「LINE WORKS」と対面コミュニケーションの違い

 また、LINE WORKSは、リバスタの施工管理Webサービス「Buildee(ビルディー)」と連携している。Buildee上の作業間連絡調整や入退場管理、安全書類作成などの情報を、現場に即したトークグループを作成して連絡するといった情報共有での活用も広がっている。今回のインターンシッププログラムでは、運営サイドから学生に対し、翌日の集合場所や時間、昼食にオススメの店などの情報発信に用いた。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.