建設に特化した人材派遣業のワールドコーポレーションは、デジタルツールの活用支援を通じた建設現場の生産性向上に取り組んでいる。今回、構造物のメンテナンスを手掛けるショーボンド建設とともに、施工管理システムによる橋梁補修工事現場の作業効率化に取り組み、1工種に対して作業員1人分と作業時間約1時間を削減した。
建設に特化した人材派遣業のワールドコーポレーションは2024年1月23日、構造物のメンテナンスを手掛けるショーボンド建設とともに生産性向上を目的とした施工現場でのデジタルツール活用に取り組み、橋梁補修工事の削孔(さっこう)長出来形測定で、人員1人分と作業時間約1時間の削減に成功したと発表した。
ワールドコーポレーションは2023年5月から10月にかけて、ショーボンド建設が施工する首都圏/北陸エリアの橋梁補修工事の現場に、建設システムの施工管理システム「デキスパート」のスキルを持った人材(デキスパート人材)を派遣し、現場への浸透を支援した。
ショーボンド建設では従来、削孔長の出来形測定を3人体制で実施し、作業には1時間35分52秒を要していた。デキスパートの活用により、1人が計測、1人が測定値をスマートフォンに入力するという2人体制での作業が可能になり、人員を減らした上で所要時間を30分24秒まで削減した。
デキスパートシリーズは、写真管理システムの「写管屋」や「出来形管理システム」など約30種類のソフトで構成される。ショーボンド建設では今回の取り組み以前からデキスパートを導入していたが、機能を十分に活用するまでには至らず、数値の入力や写真整理、出来形の帳票書類作成などは現場職員が手作業で行っていたという。
ワールドコーポレーションが半年にわたりデキスパート人材による支援を行った結果、出来形管理システムの導入率は41.7%から75%に、写管屋/出来形管理連動機能の導入比率は54.2%から83.3%に改善した。
今回の成果を受け、ショーボンド建設は今後、全国の現場でもデキスパートの浸透を図り、業務改善や生産性の向上を図る。また、ワールドコーポレーションは今回の実績を他の企業との取り組みに生かし建設DXを推進するとともに、デジタルツールのバリエーションを拡充して現場の検査委託やBPO、人材派遣などのワンストップサービスも検討するとしている。
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