清水建設は、演算工房やニシオティーアンドエムと共同で、コンクリート吹付け面の出来形計測や切羽の性状評価を実施する山岳トンネル工事向けの遠隔施工管理システムを構築した。
清水建設は2023年10月、演算工房およびニシオティーアンドエムと共同で、コンクリート吹付け面の出来形計測や切羽の性状評価を実施する山岳トンネル工事向けの遠隔施工管理システム「Shimizu Tunnel Excavation Laser guidance System」を構築したと発表した。
システムでは、3Dスキャナーや広角高精度カメラをコンクリート吹付け機に搭載。コンクリート吹付け機を計測装置化することで、危険性が高い切羽直下での目視による観察業務が不要となるほか、計測装置の設置時間も短縮できる。
吹付け面の出来形や吹付け厚などに関する調書作成や、AI(人工知能)による切羽面の画像解析および性状判定においては、3Dスキャナーで計測したデータや広角高精度カメラで撮影した画像データを自動的に使用可能。施工管理業務を効率化できる。
吹付け機を切羽近くに設置し、コントロールパネルの作業指示ボタンをタップすることで計測がスタート。まず、トンネル坑内に常設したトータルステーションが吹付け機の位置座標を取得する。次いで、3Dスキャナーが吹付け面の点群データを取得し、広角高精度カメラが切羽面の写真画像を自動で撮影する。
吹付け面の点群データは、吹付け作業後に再計測した同一面の点群データと照合され、両者の差分から吹付け厚が自動で算出される。また、AIが切羽面の撮影画像を解析し、地山の性状を判定する。これらのデータをCIMに統合することで、トンネル全線にわたる施工情報の蓄積が可能となる。
なお、清水建設は、新名神高速道路梶原トンネル工事において実証施工を実施した。吹付け面の出来形確認および調書作成の作業時間を従来の計1時間から約10分に、切羽面の観察や判定を従来の約1時間から約20分に短縮できたという。
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