2024年に向けた「Archicad」の最新アップデートでは、「YOUR BEST DESIGN OPTION」のテーマに基づき、設計の最適解を素早く検討して合意形成までつなげるべく、多くの機能改善を図った。Building Together Japanのプレゼンテーションから、設計BIMのワークフロー改善に資するというArchicad 27の各種機能をレポートする。
グラフィソフトジャパンは、BIMソフトウェア「Archicad」の新バージョン発表を兼ねたオンラインイベント「Building Together Japan 2023」を開催した。イベントでは、日本初公開となるArchicad27の新機能や改善点がデモを交えながら紹介した。
グラフィソフトジャパンは、「EMPOWERING TEAMS TO DESIGN GREAT BUILDINGS(素晴らしい建築を創造するチームに力を与える)」を企業ミッションに掲げ、BIMソフトウェア「Archicad」のさらなる進化に取り組んでいる。
Archicad27プロダクトアップデートのプレゼンに登壇したグラフィソフトジャパンの村田晶規氏は、企業ミッションを「建築に関わる人たちが、新しい技術や新しいノウハウを使って、より仕事を楽しく、より良い建築のデザインや環境を作り出すことを可能にする」と話す。
日本初公開となる今回のプレゼンでは、Archicad27の各機能を「デザイン」「ドキュメント」「ビジュアライズ」「コラボレート」の4つのカテゴリーに分け、それぞれどのような機能追加や改善があったのかを紹介した。プレゼンでは、「デザイン」と「ドキュメント」をカスタマーサクセス BIMコンサルタント 加藤香織氏、「ビジュアライズ」と「コラボレート」をカスタマーサクセス コンサルティング プログラム・マネージャー 佐藤貴彦氏が担当した。
本稿では、ワークフローの改善に役立つ、デザインとコラボレートにフォーカスして、概要と有用性を解説していく。
デザインのカテゴリーでは、新しい機能として「デザインオプション」「距離ガイド」「コマンド検索」「ドア窓複数壁貫通の改善」「モダンなGDLエディタ」などを追加。このうち、コマンド検索とドア窓複数壁貫通の改善は、Archicadのカスタマイズ機能のForwardツールで提供する。
デザインオプションでは、1件のプロジェクト内で複数のデザイン案を作成でき、デザイン検討の迅速化につながる。加藤氏は、オフィスのワークスペースにテーブルを配置する活用例を示した。
デザインオプションが素晴らしいのは、デザインの変更に応じて、什器リストも変更され、配置のデザイン別に収容可能な人数(座席数)や必要な什器の金額も計算される点にある。ワークスペースのデザイン検討であれば、コストを含めて確認できるというわけだ。
デザインオプションでは、ワークスペースだけでなく、ミーティングルームを始めとする複数のスペースでもデザイン案も検討できる。デザインのビューは、検討内容ごとに作成されるので、提案資料をまとめる際に煩雑にならずに済む。
さまざまな設計アイデアを探求するとき、大規模プロジェクトの建築家も構造設計を行うエンジニアも基本的なワークフローは同じ。加藤氏は、「デザインオプションは、プロジェクト全ての段階で役に立ち、新たな設計ワークフローを叶(かな)える」と訴求した。
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