Archicad 27は、Enscapeやblender、Unityといった多様なレンダリングやビジュアライゼーションのソフトウェアとの連携も強化した他、FBX形式にネイティブ対応し、AR/VR環境ともシームレスなデータ連携を実現している。
連携機能の中でも、ワークフローの強化に役立つとして、佐藤氏が強調したのが、コラボレートのカテゴリーだ。
Archicad 27では、BIMデータの標準化を進める国際組織「buildingSMART」が定義するBIMの国際規格「IFC」に準拠し、対応する各種のソフトウェアやソリューションとの連携を確保している。また、構造ワークフローやMEPツールも拡充し、Graphisoftの3Dモデルビュワー「BIMx」ともデータ共有がスムーズに行える。
特にBIMxを使った課題管理は、作業の効率を大幅に改善する。“課題”とは、Archicad 26までで「案件」と呼ばれ、設計変更や改善を要する場所や問題を意味する。佐藤氏は、「BIMxの課題管理は、設計ワークフローの改革につながる」とした。
BIMxとArchicad 27の連携では、BIMx側で課題を作成し、Archicadユーザー向けに用意されたクラウド環境「BIMcloud」を介してArchicadと共有。この仕組みで、コミュニケーションのツールだったBIMxが承認や課題を作るワークフローにも参加できるようになった。データをIFCモデル上でテキストや画像などを交換するオープンファイルフォーマット「BCF」形式で書き出せば、他分野のツールとも連携が可能だ。
佐藤氏は、BIMxとArchicad 27で課題のやりとりをするデモを行った。その手順は、まずiPadでBIMxのアプリを起動し、要素を認識した状態で修正箇所と内容を指定。それをBIMcloudを通じ、BIMxからArchicad 27に送信すると、Archicad 27の画面上にメッセージが表示される。
Archicad 27に届けられたメッセージをクリックすると、課題管理の中に自動的にその情報が追加される。情報には、課題を誰がいつまでに解決するのかといったタスクも含まれる。修正依頼に対してArchicad 27上で必要な修正作業を行った後は、ビューに登録してBIMxにメッセージを送信。メッセージを受け取ったBIMx側でモデルを更新すれば、修正状況が確認できる。
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