竹中工務店は、鉄スクラップ循環サイクルの全体最適化を目指し、鉄、非鉄金属、その他スクラップの回収や加工を担う製鋼原料加工会社、電炉鉄鋼メーカー、ゼネコンによる「サーキュラーデザインビルド」の協業体制を構築する。
竹中工務店、巖本金属、岸和田製鋼、共英製鋼、東京製鐵は2023年12月14日、竹中工務店が掲げる「サーキュラーデザインビルド」のコンセプトに基づき、5社が連携して、建築で電炉鋼材を活用した鉄スクラップ循環サイクルの全体最適に向け始動したと発表した。
サーキュラーデザインビルドは、サーキュラーエコノミーを実現するために竹中工務店が提唱している建築物の設計や施工の段階でリユース・リサイクル建材の選択や解体を考慮した設計手法検討などへとつなげる考え方と実践に関する取り組みを指す。
資源の少ない日本で自給可能な鉄スクラップは、最もリサイクルに適した貴重な金属資源といわれている。鉄スクラップを電気で溶かす電炉法で再生することで、鉄スクラップのリサイクルは実現する。しかし、これまで、建築での鉄のリサイクルは、各業界の経済性が優先され、業界を跨(また)ぐ連携はなかった。
今回の連携では、サーキュラーデザインビルドを実践すべく、鉄、非鉄金属、その他スクラップの回収や加工を担う製鋼原料加工会社、電炉鉄鋼メーカー、ゼネコンによる協業体制を構築する。業界の垣根を超えた技術を開発し、建築物の解体で発生する鉄スクラップを起点とした循環サイクルの最適化を推進する。
具体的には、解体プロジェクトから排出される鉄スクラップなどから電炉を利用した製品の製造、新たなプロジェクトの設計・施工に至るまで、共通プラットフォームによる効果の可視化を実施し、トレーサビリティーを確立し、鋼材の活用数量やCO2排出量の全体最適化を進める。
また、鉄スクラップ循環サイクルの脱炭素化でも、製鋼原料加工段階の加工・運搬、製品製造、設計段階で建築時の資材、施工段階で解体時のそれぞれでCO2排出量の可視化と最小化を図る。
実現までは、竹中工務店が解体する建築物から排出される鉄スクラップを巖本金属が回収し、電炉鉄鋼メーカーのニーズに見合った製鋼原料に加工して、加工された原料を岸和田製鋼、共英製鋼、東京製鐵が環境負荷の低い電炉で溶解し製品化する。製品は、竹中工務店が手掛けるプロジェクトで、解体を考慮した設計手法のもと、施工を進めるプロセスのトレーサビリティーを確立するとともに、可視化による効果を定期的に検証することで、鉄スクラップ循環サイクルの最適化を目指す。
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