インフラメンテナンスやマンション大修繕を手掛けるカシワバラ・コーポレーションの原点は「塗装」にあるという。不動産デベロッパーや設計事務所が持っていないこの強みを、近年盛り上がりを見せる住宅のリノベーション市場に持ち込んだ新サービスを立ち上げた。新規事業では、住宅の中でも面積を占める“壁”を塗り変えることに着目し、職人技の体感と塗装体験という2つのアプローチからシェア獲得をうかがう。
カシワバラ・コーポレーションは2019年11月8日、住宅で壁の塗装に特化したリノベーション事業「WALL RENOVATION」をスタートさせた。
WALL RENOVATIONは、住宅の壁1面から約2万円の低額で塗り替えを支援するサービス。住宅市場で、リノベやリフォームの多様な需要が高まっていることを受け、高額なフルリノベーションではなく、住宅の中でも広い面積を占める“壁”を対象に1面からオーダーを受けることで、コストを抑えながらも家の雰囲気を一新させたいニーズを掬(すく)い取る。
カシワバラ・コーポレーションは、「柏原塗装店」として1949年に創業して以来、建築塗装を手掛けてきた、まさに塗装のプロ。今回のサービス展開は、これまで培ってきた壁面塗装の知識や技術を、住宅の壁にも応用し新たな市場を開拓する試みといえる。
塗装のデザインは、数百種類以上にもおよぶ塗料に加え、調色することで自然界にある色を再現することも可能だ。消臭・抗菌や防カビ、花粉・アルデヒド吸着、防虫、防音など、機能塗料も揃(そろ)えており、壁を塗るだけで暮らしをより快適にする副次的効果も生まれる。
ターゲットは、戸建て住宅やマンション、商業店舗の法人やテナントの他に、一般消費者も見込んでいる。そのため、提供するサービスでは、職人が施工する「NULL.(ヌル)」と、DIYの要望に応えた居住者自身が塗装する「ie iro(イエイロ)」の2ブランドから選択する形を取っている。
NULL.は独特の風合いでリフォーム素材として人気のある珪藻土(けいそうど)をはじめ、コンクリートやモルタルなどの多様な素材を使って、塗装工が卓越したコテ技術で仕上げる。
国内では壁の装飾は、壁紙や化粧シートが主流となっているが、これをあえて塗装とすることで、熟練の塗装職人による微妙なニュアンスや質感の表現など、同じものが2つと存在しないオリジナルの壁面に生まれ変わる。職人が塗る場合は、下塗り、中塗りと、最短でも2日を要するため、価格は10万9000円〜の設定となっている。
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