九州地方整備局 宮崎河川国道事務所が、ヤマウの自己治癒コンクリート「Basilisk」を用いたプレキャストコンクリート製品「FAボックス」を初施工した。ひび割れの自動修復によりインフラ更新を先延ばしすることで、2現場合計で154.38トンのCO2排出量を削減する。
ヤマウは2023年12月8日、九州地方整備局 宮崎河川国道事務所が自己治癒コンクリート「Basilisk(バジリスク)」を用い、プレキャストコンクリート製品を初めて施工したと発表した。
Basiliskは、特殊培養したアルカリ耐性を有するバクテリアと、ポリ乳酸を生コンクリート製造時に混入させたコンクリートのひび割れ自己治癒システム。バクテリアが乳酸カルシウムと酵素を取り込み、分解し、コンクリート表面にひび割れが生じた際に生成した炭酸カルシウムが自動的に修復する。コンクリート系インフラの全面的な更新を先延ばしできるため、セメント製造時に排出されるCO2の削減につながる。
もともとは、オランダのデルフト工科大学で研究されており、北海道の総合コンクリートメーカー會澤高圧コンクリートが2020年11月、量産化に成功。2022年8月には国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS(New Technology Information System)」に登録された(登録番号:HK-220003-A)。
宮崎河川国道事務所は今回、宮崎県都城市の「都城志布志道路」と宮崎県日南市の「一般国道220号 日南・志布志道路」の2現場でBasiliskを採用。ともに、高規格道路の横断ボックスカルバートとして、FAボックスで施工した。FAボックスは、3分割されたPca部材と現場打ちコンクリートを併用した大断面ボックスを構築する工法。
都城志布志道路で施工したFAボックスカルバートは、幅4500×高さ5700の延長27メートルで、製品総重量が523トン。日南・志布志道路では、幅7000×高さ5200の延長17メートルで、製品総重量が359トン。都城志布志道路で94.59トン、日南・志布志道路で59.79トンのCO2削減効果があったという。
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