大和ハウス工業は2023年10月、約300プランから選べる規格住宅「スマートセレクション」と、スマートセレクションのプランから好みの間取りに変更できるセミオーダー住宅「スマートデザイン」の展開を開始した。
自由設計と比較した場合、建物本体価格は、規格住宅で14〜18%、セミオーダー住宅で11〜15%低減できるという(2023年10月度の契約実績)。間接経費を抑えた比較的安価な規格住宅の取り扱いを開始したことで、従来ビルダーでの建設を検討していた層の取り込みを狙う。
10月の段階では、注文住宅のうち約1割がスマートデザインとスマートセレクションの受注だったという。「将来的には注文住宅の7割まで引き上げていきたい」(永瀬氏)としている。
デジタル活用では、過去の契約データ分析に基づいた最適なプランの提案や、定点VRでの空間確認、プレゼンCADを活用し3Dモデルでの内外装や採光のシミュレーションにも取り組む。
さらに、提案中の間取りを自由にウォークスルーできるVRも、2023年12月から全国展開する。
このVRでは、大型モニタなどに映像を投影し、ゲームコントローラーを使って、自由な角度から物件を確認できる。CADデータがあれば数十秒でウォークスルーデータに変換でき、打ち合わせ中でも「インテリアのイメージを変えたい」「間取りを変更したい」などのユーザー要望にその場で対応可能だ。現在は一部事務所で試験的に導入しており、利用者の9割から好意的な反応が寄せられているという。
カーボンニュートラルへの寄与では、木造化を積極的に推進する。大和ハウス工業のバリューチェーンを通じたCO2排出量のうち、約半数を占める「販売した建物の使用による排出量」は、ZEH率の上昇により減少傾向にある。一方で「購入した資材の製造」による排出量の割合が相対的に増加し、2022年度実績では約3割を占めている。このうち、最も排出量が多い、鉄骨製造段階の排出量を削減するため木造シフトを強化する。
2023年5月に注文住宅向けの木造住宅「xevo Bewood(ジーヴォビーウッド)」を投入し、11月には埼玉県さいたま市の分譲住宅地にモデル棟を竣工した。12月から見学の受け入れを開始する。モデル棟は149平方メートルの敷地に建つ3LDK(延べ99平方メートル)の物件で、太陽光発電システム、リチウムイオン蓄電池も設置。邸別構造計算により実現した幅4間(7280ミリ)の大開口が特徴だ。
さらに、木造比率を増やし、分譲住宅の棟数拡大を図るため、新たに分譲向け木造住宅「Comfort Wood(コンフォート・ウッド)」を投入。2024年に着工する。
Comfort Woodの躯体は一般在来仕様。外観は「シンプルデザイン」と「デコラティブデザイン」の2タイプを用意した。断熱性能は等級5対応(Nearly ZEH、ZEH Oriented仕様)、充填(じゅうてん)断熱を採用。初期保証(構造、防水)は延長なしの30年。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.