オリックス銀行は、年間の一次消費エネルギー収支量をゼロ以下にした集合住宅「ZEH-M」の普及に向け、市場の活性化を後押しする。現状では、ほとんどZEH-M化が進んでいない投資用物件に着目し、開発事業者との連携を強化していく姿勢を打ち出した。
オリックス銀行は2021年12月、「ZEH-M(Net Zero Energy House Mansion)」仕様による「投資用マンション」の開発資金と、個人投資家向け貸付金利をそれぞれ優遇する取り組みを開始。2023年度中に、融資残高100億円という目標を掲げている。2022年9月29日には、ZEH-M基準を満たした「投資用アパート」についても、その購入資金の貸付金利を優遇すると発表し、同社初の融資対象となる賃貸物件を公開した。
今回の対象物件は、愛知県名古屋市に本社を置き、投資用アパートの建築事業を手掛けるフィリックスが、愛知県名古屋市昭和区に竣工したアパート(3階建て、総戸数9戸)で、県内初のNearly ZEH-M仕様による投資用物件。一次消費エネルギーの削減率は再生可能エネルギーを除くと29%で、再生エネルギーを加えた削減率は76%で、強化外皮基準のUA値は0.41ワットパー平方メートルケルビン(W/m2K)と、国が定めるNearly ZEH-Mの基準を満たしている。
具体的なアパートの仕様としては、高断熱材の採用はもちろん、通気層を設けて湿気を放出し、結露の発生を防いでいるほか、サッシには省エネ建材等級ラベルを表示しているLIXIL「防火戸FG」を採用。空調機システムは、冷房と送風を独自のセンサー技術により、自動で切り替える「ムーブアイ」機能を持つ三菱電機製品、給湯器は熱効率を約96%に高めた「エコジョーズ」のリンナイ製、照明は消費電力を蛍光灯の約50%に抑えるパナソニックのLED製品などを駆使して、さまざまな観点から省エネ化を図った。
さらに、屋上には京セラの多結晶シリコン太陽モジュールを31面敷き詰め、電力を創出。併せて、15年保証の長寿命と高安全性を持つ京セラのクレイ型蓄電システム「Enerezza(エネレッツァ)」も導入している。
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