このように、転職による入職者が減り、人材流動性が低下している建設業だが、年齢層別にみると、20代の若手は転職による入職者数が大幅に増えている。
全産業における転職入職者数の年齢層別では、20代が最も多く20年の58万5200人から21年は61万8300人、22年は70万3600人と増加し、若手層の転職が活発化していることが分かる(図表3)。
建設業でも、20代の転職による入職者数の増加が際立っており、20代が19年の3万5600人から20年には5万6900人となった。21年、22年と微減しているものの、過去5年間で大きく増加している(図表4)。
建設業への転職者を年齢層別の割合でみても、20代は、18年の23.6%から年々上昇して22年には38.3%に達している。一方で、30代は同28.0%から同16.9%に低下している。
こうしたデータからは、建設業各社は20代の若手社員の採用に注力していること、また30代の即戦力社員については採用に苦戦していることが推察される(図表5)。
続いて転職による給与アップ額を見ていく。転職者のうち給与額が増加した人の割合は、建設業では、18年の34.8%から19年は37.1%、20年は37.6%、21年は39.4%と全産業計を上回っていたが、22年は35.0%に低下し、全産業計の35.8%を僅かながら下回る結果となった(図表6)。
さらに、年齢層別に給与額が増加した人の割合は、22年の建設業の実績では、20代が55.7%、30代が61.2%と、20代、30代は全産業計を大きく上回る結果だった。一方、40代では6.4%、50代は13.9%と、いずれも全産業計を大きく下回った(図表7、8)。
こうしたことから、建設業への転職者については、20代と30代の若手は給与が大きく増加し、40代と50代では、全産業と比較しても給与が減少している(図表7、8)。
ヒューマンリソシア
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