ヒューマンリソシアは、「建設技術者・技能工の2030年の未来予測(2023年版)」を発表した。未来予測では、設技術者は約4.5万人、建設技能工は約17.9万人が不足すると試算している。
総合人材サービス会社で、建設業向けの人材紹介・人材派遣・海外人材派遣サービスを展開するヒューマンリソシアは2023年4月25日、建設技術者および技能工の人材市場動向について調査し、2030年の人材需給ギャップを試算して「建設技術者・技能工の2030年の未来予測(2023年版)」として発表した。
未来予測では、2030年には「ベースライン成長シナリオ」※1で、建設技術者は約4.5万人、建設技能工は約17.9万人が不足すると試算した。厳しい人材不足が続く建設業界においては、技術者および技能工の確保に向けた人事戦略が一層重要になると分析している。
※1:内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」におけるベースラインケースの経済成長率、消費者物価上昇率をベースに試算した建設投資額予測をもとに、建設技術者需要数を試算
■本レポートの要旨
・国勢調査および、経済予測や雇用関連データをもとに、ヒューマンリソシアが独自試算
・将来の就業者数および人材需要数を試算し、2030年の人材需給ギャップを推計
・2030年には、建設技術者は約4.5万人、技能工は約17.9万人が不足する見通し
建設技術者(建築技術者および土木・測量技術者の合計)の人材需給ギャップを独自に試算したところ、「ベースライン成長シナリオ」で、2030年には4万5491人が不足すると推計した。
人材過不足率(不足数÷需要数)も、2020年の-9.9%から、2030年には-7.9%に低下し、人材需給ギャップはやや縮小するが、依然として人材不足状態とした。
建設技能工(建設・採掘従事者)の人材需給ギャップは、2020年の3万7591人から2022年には4万1698人、その後一層拡大し、2030年には17万9121人の不足と算出。人材の過不足率も-1.5%から-7.0%に大幅に拡大すると予測している。
レポートでは、2022年12月に公表された2020年国勢調査結果の詳細データをベースに、2030年までの建設技術者および技能工の人材需給ギャップを試算。その結果、2030年には、建設技術者は約4.5万人、建設技能工は約17.9万人が不足することが予測され、人材確保が厳しい実態が明らかとなった。
2015年の国勢調査では65歳以上の建設技術者就業者は約5.3万人だったところ、2020年国勢調査結果では同約8.5万人と、3.2万人増加している。65歳以上のシニア層がこれまで以上に、継続就業している実態が明らかとなり、建設業各社が、経験や熟練技能を有するシニア人材の活用を推進していることがうかがえる。一方で、35〜44歳の就業者数が5年間で22.5%減少しており、マネジメント層の人材不足の課題感が一層高まると推察されるとしている。
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