戸田建設は、建設業の重篤災害の1つに数えられる山岳トンネル工事を対象に、CO2濃度や温度、湿度といった作業環境を測定し、LPWA通信を介して、遠隔地に居てもiOSアプリで確認できるシステムを開発した。
戸田建設とsMedioは、山岳トンネル工事現場の作業環境を測定し、クラウドによる一元管理と、iOSアプリで可視化するシステムを共同で開発し、施工中の現場で実証運用を開始したと2023年9月26日に公表した。
施工中の山岳トンネル工事で、坑内の作業環境は労働者の安全衛生に密接に関係している。作業の内容や機械設備稼働状況、さらには外部環境の影響で、坑内の作業環境は刻々と変化するため、トンネル工事施工中の坑内作業環境を良好な状態に保つには、作業サイクルに応じて変化する坑内環境指標の把握が重要となる。
システムは、Kiwi Technologyが提供するLPWA(省電力長距離通信)の「LoRaWAN対応ゲートウェイ(TLG3901BLV2)」、水や空気や土壌の状態を定量的に把握する「環境センサー(LAS-302V2)」に加え、「インジケーター(LAS-I01)」「3色表示電子ペーパー(LAS-D03)」で構成。西日本高速道路が発注した施工中の「新名神高速道路 宇治田原トンネル東工事」のトンネル坑内と現場事務所に設置した。iOSアプリと電子ペーパーを使用し、試行的にCO2濃度、温度、湿度の状態を坑内環境指標として、リアルタイムにモニタリングする実証運用を開始した。
システムの特長としては、LoRaWANの長距離無線(1000メートル超の通信を確認済み)のため、坑内での中継器の盛替え作業が少なく、専用回線のために他の坑内通信設備への電波干渉がない利点がある。
また、2測定項目ごとのしきい値を設定しておけば、値を超えると電子ペーパーの表示色がオレンジ、赤と変化し、視覚的に分かり、警告音でも知らせる。さらにメールでの通知に加え、iOSアプリやWebアプリで遠隔でも詳細を把握できる。
今後は、対象とする作業環境項目を増やし、AI活用で各作業における環境予測情報などの見える化を視野に入れている。
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