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» 2020年06月05日 10時00分 公開

建設業で効果的なZETA通信の基礎や最新動向(1):建物内の設備管理を容易にするZETA通信のマルチホップ機能とは? (1/2)

本連載では、ICTシステムに関する企画やコンサルティング、設計、構築などを手掛けるNECネッツエスアイ ビジネスデザイン統括本部 デジタルタウン推進本部 事業推進マネージャー 川崎孝史氏が、通信規格「ZETA」の基礎知識や最新動向、建設業での活用方法を紹介する。第1回目では、ZETAの概要や通信業界での位置付け、特徴的な機能に触れる。

[川崎孝史(NECネッツエスアイ),BUILT]

IoTを取り巻く通信業界の動向

 2019年は「第5世代移動通信システム(5G)」元年と呼ばれ、国内では総務省より5G導入に関する特定基地局開設計画の認定やローカル5G導入に関するガイドラインの公表、一部周波数の割り当てがなされ、5G展開で必要な環境の整備が進められてきた。2020年春には、各携帯会社が5G通信サービスを上市した。

 超高速、超低遅延、多数同時接続が主要性能とされている5Gでは、自動運転や遠隔医療などへの活用が期待されている。一方、低消費電力、長距離通信という特徴を持った通信規格が、「LPWA(Low Power Wide Area)」である。IoTで重宝されるセンシングデータといった小容量の情報を送信するのに適した通信だ。各業界では、5GやLPWAなどを適切に組み合わせ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指している。

LPWAとZETAの位置付け

建設業界における課題とLPWAの必要性

 建設業でも、老朽化したインフラの点検や作業員の安全を守る観点で、無線通信によるIoTの活用が注目されて久しい。プロジェクトごとに携わる人数や作業工程が多い反面、人材不足に見舞われている業界で、省力化につながる5GやLPWAといったテクノロジーを導入する効果は大きい。

 これまで、BLE(Bluetooth Low Energy)やWi-Fi、LTEといった通信手段が用途に応じて選ばれ、IoTが導入されてきた。結果、部分最適化された仕組みが非連続な形で点在することになった。また、システム開発では、センサーやゲートウェイの選定、アプリケーション開発などで、時間と費用ともに、負担を強いられるのが常態化している。

 今回の連載では、ユーザー自らが使いたい場所で手軽に使えるLPWA規格「ZETA」について述べていく。なお、ZETA通信規格の詳細は、ZETAアライアンスオフィシャルサイトも参考にして欲しい。

ZETAの概要

 ZETAは、ZETAサーバやアクセスポイント(AP)、中継器、センサーで構成される。非セルラー系に含まれ、プライベートLPWAに分類される通信規格で、最大の特徴は中継器を使用した「マルチホップ機能」と言えよう。

ZETAのアーキテクチャ

 マルチホップ機能の効果は、通信エリア確保の容易性と、無線環境の変化に応じた通信経路の冗長化である。中継器を最大3台用いて、APからの電波を遠方まで届かせられるため、遠隔地でも通信エリアを構築しやすい。また、天候の変化や構造物の移動などによって、APとデバイス間に障害物ができた場合や多様な要因によって無線環境に変化が生じた際に、配置された中継器で、迂回(うかい)路を設け、通信を維持することが簡単だ。

 冗長化とは、システムの一部に何らかの障害が起きた場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を保ち続けられる仕組みを作り上げ、運用することを指す。

LPWAやZETAなどの位置付け
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