高価な建設ICTを用いた“i-Construction”は「ホントに儲かる?」コベルコ建機が真相を明かす第5回 建設・測量生産性向上展(3/3 ページ)

» 2023年09月12日 16時22分 公開
[川本鉄馬BUILT]
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利益シミュレーションには、ICTの積算を理解すべし

 i-Constructionが従来の工事に比べて儲かるか、儲からないかは、従来の積算とそれに掛かっていたコスト、ICTでの積算とそれに掛かるコストの4つを比較することで求められる。つまり、従来の利益とICTでの利益、積算の増減と実行コストの増減が計算できるわけだ。そして、この計算結果によって、i-Construction導入で利益が増えるのか減るのかが判明する。

従来の工事とICT活用工事を比較。ICT導入にはコストが必要だが、得られる収入も増える。ICT導入後の利益は、計算しなければ分からない 従来の工事とICT活用工事を比較。ICT導入にはコストが必要だが、得られる収入も増える。ICT導入後の利益は、計算しなければ分からない

 関口氏は、「ICTの積算が分からない人が多いから、利益も分からない人が多い」と語る。しかし、計算すれば利益の存在が判明する。「会社の積算部隊とやりとりすれば見えてくる。ぜひ積算の方にも目を向けて欲しい」。

 ICT建機の利用は、確かに従来工事に比べるとコストが増大する。しかし、積算を理解した上でシミュレーションすれば、従来よりも多くの利益が得られることが一目で理解できる。関口氏は、ICT建機の利用でしっかりとした利益があることを「強烈にお伝えしたいメッセージ」と訴えた。

 講演では、1億円/2万立方メートルの工事を例に、利益の計算例も紹介。起工測量、3次元設計データ作成、ICT施工、施工管理、電子納品の各プロセスを通して、具体的なコストを示し、結果として「儲かる」結果となった(※具体的な金額は、コベルコ建機と関口氏の独自ロジックをベースとしているので非公表)。

 さらに、工事規模(工事費)別の金額比較も行った。起工測量から電子納品に至る5つのプロセスにのみフォーカスすると、従来工事で1%前後の利益率しかなかったが、ICT工事であれば10%前後まで高められる。

 ただし、盛土は3万立方メートル前後で損益分岐点があり、工事規模が大きくなるほど損益がマイナスになってしまう。関口氏は「(盛土の)ブルドーザーは、早く仕事を終わらせて返さないとレンタル費用がかさむ」と注意点を指摘した。

従来の工事とICT活用工事を比較。ICT導入にはコストが必要だが、得られる収入も増える。ICT導入後の利益は、計算しなければ分からない i-Constructionの考察

 講演では、他にも、i-Constructionに対応したコベルコ建機の3Dバックホーや通信ネットワークを介した建機の遠隔操作ソリューション「K-DIVE」といった製品やサービスも披露した。

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